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喜劇的人間

2009年最後の日記に「ハーポ部長の生活と意見」という仰々しいタイトルをつけたのは、チャタレイ裁判で有名(有罪)な文芸評論家、伊藤整氏の次の言葉を見つけたからだった。これをサゲにもってきて2009年をきれいに締めくくるつもりだったのだが、残念ながら失敗に終わった。きっとこれは10年代に残されたボクの課題なのだろう。

「二重の論理をやめて、一重の論理で生きる時がナマの現実生活である。だから強い生命意識に駆られる人間たちは、舞台の約束をそのまま現実にしようとして、人を殺したり、自ら死んだりしなければならなくなる。革命する芸術家と自殺する芸術家は二重の存在である芸人の意識をいつの間には忘れて、そのまま舞台で一重のナマの生活にしようとするのです。」(『伊藤整氏の生活と意見』)

リンギスの「社会は、たた単に暴力的な者を社会病質とみなすのではなく、―暴力であっても、警察やプロ・ボクサーにおいて見られるように完全に社会化されることもある―、二重、三重の人生を送る者を社会病質とみなすのだ」という言葉に照らしあわせてみると、芸人であることもなかなか生きづらそうだ。

う~ん、それは困る。

ここでいう芸人とはもちろんテレビや劇場で笑いをとることを仕事にしている人間のことではない。自分という人間を戯画化できる人間のことである。自己戯画化とは自己卑小化ともいえる。『伊藤整氏の生活と意見』のなかで著者の伊藤整氏はこんな処方箋を出している。

「自己卑小化によって人間は、自分を悲劇的人間として美化することも、深刻になることもない。これは自己救済の方法として有効である。」

ふー、助かった。

2010年の映画始めは高架下の昭和な映画館、銀座シネパトスでの森繁特集上映。大好物の『喜劇 とんかつ一代』(2度目の鑑賞)と森繁芸能生活40周年記念の新旧オールスターキャストの予備校もの『喜劇 百点満点』。大満足して森繁気分で銀ぶら。だがとんかつは高すぎて食えず。

空気を読んで上手に笑いをとっていくテレビ的な芸人には全く憧れないが、銀幕の軽快な喜劇人には憧れる。 そんなわけで読書始めは『森繁自伝』。満州でソ連兵に春画を売って食いつないだり、撮影所での猥談の評判でいい役をゲットしたり、と森繁の自己戯画芸が輝る。

森繁自伝.jpg


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  • By harpobucho / Jan 10, 2010 8:10 pm

やばいぞ行きたいイベントだらけじゃんかよ!



個人的にパタフィジックとアルフレッド・ジャリTシャツを出すので後学のために

ジョルジュ・ペレック『煙滅』(水声社)刊行記念イベント
《ウリポ》ってなに?–現代フランス文学の楽しみ

ジュンク堂書店池袋本店 トークセッション
http://www.junkudo.co.jp/newevent/evtalk.html#20100116ikebukuro
豊﨑 由美(ライター)×塩塚 秀一郎(フランス文学者)
■2010年1月16日(土) 19:00〜

20世紀フランスで産声を上げた、奇妙キテレツな文学集団がいた……。
そのグループの名は《ウリポ》。メンバーはジョルジュ・ペレックやレーモン・クノー、イタロ・カルヴィーノなどなど。一つのエピソードを99通りの文体で書いたり、Eをまったく使わずに小説を書いたり。これらの言語遊戯によって、彼らは文学のどんな可能性を引き出したのか?
数々の海外文学を読破し、かつてない切り口によって書評の異種格闘技戦を繰りひろげている豊﨑由美氏と、翻訳不可能といわれたジョルジュ・ペレックの『煙滅』を《い》段抜きで訳すという翻訳のアクロバットを見せた塩塚秀一郎氏。お二人に、《ウリポ》とはなにか、またペレック作品をはじめとする、さまざまな文学表現の魅力について、たっぷりと語っていただきます。

・豊﨑 由美(とよざき・ゆみ)
1961年生まれ。ライター、書評家。主な著書に『そんなに読んで、どうするの?』(アスペクト)、『文学賞メッタ斬り!』(共著、パルコ出版)など。

・塩塚 秀一郎(しおづか・しゅういちろう)
1970年生まれ。パリ第三大学文学博士。現在早稲田大学理工学術院准教授。主な訳書に、ジョルジュ・ペレック『さまざまな空間』、『美術愛好家の陳列室』、レーモン・クノー『あなたまかせのお話』などがある。







これは身内びいきじゃなく、面白くないわけないじゃん!

WHAT AM I DOING HERE? ワークショップとトーク 5つの小径

主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室(財団法人東京都歴史文化財団)、明治大学
企画:明治大学大学院 新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系 管啓次郎研究室
日程:平成21年12月~平成22年2月
会場:明治大学猿楽町第二校舎 新領域創造専攻共同演習室(東京都千代田区猿楽町2-4-1)
参加費:無料(要申込み)
http://waidh.exblog.jp

③場所の知覚 1月17日(日)
ワークショップ:「測量ワークショップ」小山田徹13:00~17:00(定員15名)
トーク:「0円生活と場所っプ」坂口恭平+山下陽光18:00~20:00(定員30名)
ワークショップでは洞窟の測量方法を実践し、東京を新しく知覚する方法を考えます。今まで知っているつもりの場所もまったく違う性格があることを学び、場所と新しい関係をつくる方法を考えるためのワークショップとトーク。

小山田徹(こやまだ・とおる)
美術家。京都市立芸術大学日本画科卒業。1998 年までパフォーマンスグループ「ダムタイプ」で舞台美術と舞台監督を担当。平行して「風景収集狂舎」の名で様々なコミュニティ、共有空間の開発を行ない現在に至る。洞窟探検グループ「Com-pass Caving Unit」メンバーとして活動中。

坂口恭平(さかぐち・きょうへい)
建築探検家。1978年熊本生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、2004年に日本の路上生活者の住居を収めた写真集『0円ハウス』をリトルモアより刊行。2006年カナダ、バンクーバー美術館にて個展。2007年ナイロビで世界会議フォーラムに参加。著書に『TOKYO 0円ハウス 0円生活』(大和書房刊)などがある。
http://www.0yenhouse.com/

山下陽光(やました・ひかる)
1977年長崎県生まれ。高円寺の古着屋「素人の乱シランプリ」店主。なぜか「美術手帖」2009年5月号で16ページも使って特集される。
http://blog.goo.ne.jp/bashop/







夜の大学ももう10回目か! 潜伏度の高いイベントです。

連続講義「大学の夜」第十夜
映画のコミュニズムを讃えて
――『シネキャピタル』(洛北出版)とその後

講師:廣瀬 純 (思想・映画批評)
日時:1月18日(月) 19時15分〜21時00分
場所:早稲田大学生協ブックセンター(閉店後)

今回は、2008年に『シネキャピタル』(洛北出版)を上梓された廣瀬純氏を講師にお迎えします。
『シネキャピタル』はドゥルーズ『シネマ』に依拠しつつ、氏がこれまでそれぞれに語ってきた映画と運動を同時に語ることを自らに許した著作となっていて、まさに廣瀬氏の思想のエッセンスが凝縮した本です。
イメージたちに剰余価値生産させる映画と、ポストフォーディズム〜金融化の労働を重ねた分析はとても鮮明で、そしてそのただ中でさえ、解放されたイメージとはなにか、解放された労働者とはなにか、と進む思考は、来たるべきデモクラシーを予示的に讃えているようです。
ただ、『シネキャピタル』には後があるような気がします。今回は『シネキャピタル』から、予告される続編へと思索が進むかもしれません。廣瀬氏からどんな新たな言葉があらわれるのか期待します。
私たちは、イメージのコミュニズムとはなにか? と問うことを許されています。ご参加をお待ちしております。








エガさんに会いに、かつてグラフィティのメッカだった桜木町の残照へ

グラフィティ/ストリートアートはこんな今、どこに向かおうとしているのだろうか?―”ポスト・グラフィティ”を再構築する試み
【北仲スクール 公開講座1】
http://kitanaka-school.net/event/2010/01/post-20.html
講師:荏開津広(東京藝術大学・多摩美術大学・ライター/DJ)
日時:2010年1月20日(水) 19:00~21:00
会場:ヨコハマ・クリエイティブシティ・センター(YCC)3階スペース

荏開津広(えがいつ ひろし)プロフィール
テキスト/DJ/施行
90年代は「ルーティン」、「デ・ニーロズ」などのユニットに在籍、その後大転落。しばらくの彷徨の後、キーチャ・アラード、イアン・シモンズなどとコラボレーション、KIOSK HELLO東京支部をつとめあげ、IMPOSSIBLE NIGHT REGULARS、著書『人々の音楽について』(EDITION OK FRED)、翻訳『サウンド・アート』(木幡和枝、西原尚と共訳)(2010年に刊行、フィルム・アート社)、『ヤーディ』(トランス・ワールド社)など。以下の音楽アルバムに参加。《ILL-CENTRIK FUNK》、《TEMPLE OF DUB》《SOBA-AMBIENT》など。東京藝術大学、多摩美術大学で非常勤講師。








参考図書にジョック・ヤング『後期近代の眩暈』ってうけますw

不良少女、セレブとビッチの100年史
平山亜佐子『明治 大正 昭和 不良少女伝』(河出書房新社)刊行記念
平山亜佐子 × 速水健朗 夜のプロトコル vol.5「ジャンダークのお君」からニコール・リッチーまで

http://www.yorutoko.com/2010/01/no_05-945e.html
2010年1月22日(金)開演18:30(開場18:00)

複数ライター、編集者たちが企画する定期イベント「夜のプロトコル」がジュンク堂新宿店に初上陸。トークのテーマは不良少女。不良少女とは、社会の変化と女性の立場、そこから生まれ出たアウトサイダー。近代から今という時代を考えるためのひとつの軸として、時代の合わせ鏡としての不良少女像をなぞります。

平山亜佐子(ひらやま・あさこ)
兵庫県芦屋市出身。文筆家。著書に『20世紀 破天荒セレブ ありえないほど楽しい女の人生カタログ』。2008年11月に本書の第一稿となる「明治 大正 昭和莫連女と少女ギャング団」で河上肇賞奨励賞を受賞。

速水健朗(はやみず・けんろう)
1973年生まれ。石川県出身。フリーランスライター/編集者。音楽、芸能、コンピュータなどの分野で執筆活動を行う。著書に『タイアップの歌謡史』『自分探しが止まらない』『ケータイ小説的。—-”再ヤンキー化”時代の少女たち』等。

会場…新宿ジュンク堂本店 8階喫茶コーナーにて。入場料1,000円(1ドリンクつき)
定員…50名
受付…7Fカウンターにて。電話予約も承ります。ジュンク堂書店新宿店 トークセッション情報








子弟対談? これは楽しみ!

ストリートの思想とマルクス
(毛利嘉孝×表三郎 対談)

毛利嘉孝氏と表三郎氏の対談イベントがサウンド・カフェ・ズミで行われます.毛利嘉孝氏はカルチュラル・スタディーズの大御所.近著『ストリートの思想』では,文化と政治の結節点を鮮やかに描き出す.文化の背後に潜む政治性について,今このような手法で研究を進められるのはおそらく毛利氏だけであろう.その毛利氏が思想・哲学に目覚めたのが予備校時代.その予備校時代の先生が表三郎氏だ.表三郎氏は在野の闘う思想家.全共闘運動を経て,大学の非常勤講師から駿台予備校講師に流れつき,約40年間,実践的な英文読解法の指導にあたり続ける.91年までは関西の英語科主任を務め,受験会でその名を知らない者はモグリと言われるほど人気を博した.思想の研究はマルクスを中心としたもので,最近は「マルクスの<実践>論」を『情況』に連載中.

今回,毛利嘉孝氏と表三郎氏の対談にあたり,約30年ぶりに師弟再会となる.前半は思想史の話が中心となる.毛利氏のご専門である「ストリートの思想」が,思想史上どう位置づけられるのか,マルクスの実践論的思想がどの程度,ストリートの思想と親和性を持ち得るのかが争点となるだろう.そして,後半は,当時の予備校での話や表氏主宰の研究会の話など,今の研究会の大学生なども交えながら,フリートークを行なう予定.乞うご期待!

日時:1月24日(日)14時半OPEN,15時START〜17時半
場所:吉祥寺,サウンド・カフェ・ズミ sound cafe dzumi
〒180-0005 武蔵野市御殿山1-2-3 キヨノビル7F(1Fがスリアというヨガグッズ屋さんです)
サウンド・イメージ研究所 0422-72-7822,JR吉祥寺駅南口より徒歩5分
料金:カンパ制(500円〜),ドリンク注文別
問い合わせ:anarchist.kon [at] gmail.com(近藤まで)








素人の乱で「哲学への権利」上映!

ドキュメンタリー「哲学への権利 国際哲学コレージュの軌跡」を観て── 大学の外/哲学の地下
地下大学

・西山雄二(監督 / 哲学)平井玄(音楽批評)、白石嘉治(上智大学)
・1月25日(月)上映=19:00~20:35 / 討論=20:45~22:00
・高円寺・素人の乱12号店・北中ホール
・資料代500円+出来れば投げ銭


映画『哲学への権利』公式HP ⇒ http://rightphilo.blog112.fc2.com/
1983年、ジャック・デリダらが脱構築の論理をもとにパリに創設した半官半民の独創的な研究教育機関「国際哲学コレージュ」をめぐる初のドキュメンタリー映画。収益性や効率性が追求される現在のグローバル資本主義下において、哲学や文学、芸術などの人文学的なものの可能性をいかなる現場として構想し実践すればよいのか。監督・西山雄二が歴代の議長を含む関係者7名へのインタヴューを通じて、大学、人文学、哲学の現在形と未来形を描き出す。

出演:ミシェル・ドゥギー、フランソワ・ヌーデルマン、ブリュノ・クレマン、カトリーヌ・マラブー、フランシスコ・ナイシュタット、ジゼル・ベルクマン、ボヤン・マンチェフ 
音楽:matryoshka (Novel Sounds)
監督:西山雄二
特別協力:国際哲学コレージュ
助成:文部科学省研究費補助金若手B課題番号20720002
後援:東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター(UTCP)」
上映時間:93分 フランス語(日本語字幕付)





上田さんの活動はいつも気になっております。

2月 津田塾大学にちっちゃなココルームが出現?!
〔体験アート展〕握れないけど触れた時-私たちの出会った関西の市民メディア活動

http://booksarch.exblog.jp/9597540/

会期:2月11日(木・祝)10:00〜20:00 , 12日(金)10:00〜18:00
会場:津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス津田ホールT101,T102 ※入場無料

津田塾大学 ソーシャル・メディア・センター
この中で、釜ヶ崎にあるカマンメディアセンターとのコラボ企画も行います。
映像発信てれれ、築港アークのアサダワタルさん、学生とダルク参加者らによるワークショップなど、ユニークな企画が満載です。

☆ソーシャルメディアセンター☆
また、このような大学とNGOとの協働による、多様な表現活動をサポートするために、津田塾大学では、昨年末に「ソーシャル・メディア・センター」という場を開設しました。昨年秋から2年半、文科省の大学教育・学生支援推進事業の助成を受けることが決まったことが大きいのですが、数年前からダルク女性ハウス、その他のNGOとのコラボレーションを行ってきたことがベースにあります。

今はまだ、小さな事務室しかないのですが、2人の若いクリエイターが職員として昨秋から働いてくれており、クールなフライヤーやウェブなどをせっせと作ってくれたり、イベントのサポートをしてくれたりしています。また、今年の秋には外部と映像を中心としたコラボができるスペース【コラボラボ】を学内に開設する予定です。大学生にとってはもちろんのこと、社会的支援のニーズを抱えたコミュニティにとっても開かれていて、使い勝手がいいメディアセンターがあるといいという思いからセンターを作りましたので、皆さんのほうでも、いろいろな希望を出してください。社会をつなぐための表現として、大学のスペースや機材を使いたい、ワークショップをやりたい(出前も含めて)、シリーズものの企画をやりたいなど、何でも結構です。実現できるように皆で知恵を出し合ってみたいと思います。

「ソーシャル・メディア・センター」では、暫定的なウェブサイトも立ち上げました。
http://edu.tsuda.ac.jp/cmccl/
現在は、本センター主催のイベントのお知らせ中心ですが、すでに様々な企画を行っておりますので、ぜひ、ご参加ください。また、関心を持ちそうな方々に当サイトについてお知らせいただければ幸いです。









実は、野崎さんのファンです! 『シュルレアリスムの25時』も気になる

誰も知らないシュルレアリスム
『シュルレアリスムの25時』(水声社)刊行記念イベント ジュンク堂書店池袋本店 トークセッション
http://www.junkudo.co.jp/newevent/evtalk.html#20100213ikebukuro
野崎 歓(フランス文学者)×鈴木 雅雄(シュルレアリスム研究者)
■2月13日(土) 19時〜

20世紀の思想や芸術に大きな痕跡を残し、いまもなお現代文化を挑発し続けている、シュルレアリスムとその運動。ブルトンやダリ、マグリットの作品は、日本でもよく知られています。しかし、彼らの表現だけがシュルレアリスムではありません!これまで注目されることのなかったユニークな画家や詩人、写真家たちを紹介しながら、「いま」「わたしたちにとって」のシュルレアリスムとは何かをめぐって、第一線で活躍するおふたりの論者に縦横無尽に語っていただきます。

・野崎 歓
1959年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授、フランス文学者。主な著作に『赤ちゃん教育』(青土社、講談社エッセイ賞)、『われわれはみな外国人である』(五柳書院)など、訳書にトゥーサン『浴室』、ソレルス『秘密』などがある。

・鈴木 雅雄
1962年生まれ。早稲田大学文学学術院教授、シュルレアリスム研究者。主な著作に『シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性』(平凡社)など、訳書にダリ『ミレー《晩鐘》の悲劇的神話』などがある。



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  • By intellipunk / Jan 09, 2010 6:08 pm

賀正

正真猛虎写生図.jpg

『正真猛虎写生図』(1861年)

10年代の滑り出しは河鍋暁斎で勢いをつける。
今年もよろしくお願いします。


  • HarpoBucho
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  • By harpobucho / Jan 03, 2010 12:06 am

ハーポ部長の生活と意見

00年代最後の日、さて何を書こうか?

最近、ブログ/日記の更新頻度が下がっているわけだが、なんか自分の生活っぷりや意見を報告することにあまり興味がなくなってしまったのかもしれない。昔は、面白いことを発見すると報告しないと気がすまない性質だったんだけど、今は自分のなかでそれを深めていき、日々の生活のなかの言動で表現すればいいや、って感じ。

そんな気分にさせたのもツイッターやmixiのボイス機能の流行のせいかもしれない。なんでみんなどうでもいいことを報告しなきゃ気がすまないのだろうと疑問に思うわけだ。この過剰情報社会のなかではいかに要らない情報を削ぎ落とすかが重要なのに、余計な情報を発信したり受信したり、フォローがついたとか喜んだり、と意味がわからない。ツイッターはまったく見ないのでボクの知らない魅力的な世界がそこに広がっているのかもしれないが、mixiボイスを夜中に強制的に見せられている(非表示の機能がない!)と、「あー頭の中身漏らし過ぎ!」とこっちが恥ずかしくなったりする。「いま」を共有するのは「ここ」にいる人たちだけで充分ではないか、と思うわけだが如何でしょうか。ビー・ヒア・ナウってことで。

と愚痴めいたことで今年を締めくくるのも如何なもんかと思うわけで、2009年のボクの生活と意見をやはり報告して終わりにしたい。

労働の観点から今年を振り返ると1月~3月の残職期、4月~11月が失業期、12月が就職期になるんだけど、実質今年働いた期間ってのが3ヶ月くらい、それでも失業保険のおかげでなんとか楽しく生きていけたってのは今思うととてもハッピーな一年だったように思う。働かないことに負い目を感じず、自分を貴族階級なんじゃないかと錯覚して生きる「河原貴族の会」(別名、平昼ズ族)という秘密結社の活動は失業を肯定的に捉え返すとてもよい活動だった。しかし夏を過ぎるとメンバーのペペ長谷川の「(人生の)末路がこわい」、ハーポ部長の「やっぱ働いたほうがいい」という弱気な発言により解散。その様子はCHANOMADの新作映像作品『十人十声』に収録されている(公開未定)。

失業期間はお金を使わないために部屋にいることが多く、部屋の窓から眺めていた風景が印象的だった。狭いベランダにヤヴァン・ガーデニングと称した庭をつくり、日本一の茶師、前田文男がブレンドした茶を飲みながら、ボーっと風景を見ながら過ごした。自分の部屋を10年前に行ったモロッコの港町タンジールに見立て、友を招いてはベランダで育てたミントで甘い茶を点て歓待のゲームを楽しんだ。以下、茶の窓からの風景。

タンジール.JPG

最初の興味は植物。ツル系植物の太陽を目指して旋回しながらも上へ上へと伸びていく向上心にいろいろ学んだ。

ハート.JPG

朝顔は太陽に向かって咲くので直接見れない。向かいの家の窓に反射された朝顔をボクは毎朝見る。洗濯されたフランツ・ファノンと朝顔。

窓鏡.JPG

次の興味は昆虫だった。サンショウの木でアゲハ蝶の幼虫に遭遇してからボクの新しい世界が広がった。

空飛ぶ芋虫.JPG

昆虫の次にきたのが動物。「りきゅう」と名付けた黒猫がボクの失業中の師匠だった。気持ちのいい場所を発見しては、ひたすらいい時間を過ごすリラックスの天才。たぶん失業すると犬派の人間も猫派に傾くと思う。首輪が邪魔だもの。猫の生き方には勇気づけられた。

黒猫りきゅう昼寝.JPG

猫と恋人のように視線を交し合う日々・・・

黒猫りきゅう起床.JPG

動物に関してはいい思い出ばかりではない。小鳥の餌箱をベランダに設置したら、クマネズミがやってきて部屋の中にも侵入してきた。1週間共生した後、同棲は無理だと判断し、ボクは罠を仕掛けてそのかわいらしい小動物を自らの手で殺した。あの断末魔は忘れなれない。

ねずみ.jpg

空をよく見ていた。雲の流れや、近所の公園からあがるカイトの動きを。部屋の中から寝転がって空が見られることをとても幸せに感じた。こんなに長く空を見ていられる時期が次にくるのはおそらく老後だろう。あー早く隠遁したい。

カイト.JPG

2009年はなんだかずーっと部屋にいたみたいだなあ。脱失業後の労働報告やあまり出歩けなかったけど良かったイベントの報告もしたかったが、タイムリミット。うまくまとめられなかったけど、2009年、とても奇妙で楽しい一年でした。いろいろな人のお世話になりました。この場を借りてお礼いたします。来年もよろしく!


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  • By harpobucho / Dec 31, 2009 11:07 am

新作

2009-10年 秋冬コレクション
リリースは未定ですが、軽くliner notesが出来上がり次第アップします。




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MUSICA FUTURISTA




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阿片




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フランクフルト学派




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NIETZSCHE




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  • By intellipunk / Dec 29, 2009 5:33 pm

あらゆる犯罪は革命的である。

ならば、あらゆる革命は犯罪的なのだろうか? 



 法は禁止する対象の行為やイリーガルな存在の不在や矯正を目標とするのではない。そうならば法は法自身を無くすために存在しているからだ。もし、法によって多くの人々が矯正され、正義や論理、道徳を内面化できるならば、法はどんどん減っていき、最後には消滅するはずである。ところが有史以来、法はどんどん減るどころか、ますます細分化され、とてつもない勢いで増加している。残酷でありつつも牧歌的であった太古の「目には目を」や、「10戒」を思い出せ。 法は法を無くすために存在するのでは無く、ますます日常的に存在し、生活の意識の中で警告や警報となって繰り返し浮かび上がるために、犯罪者やイリーガルな存在を必要としている。法は暴力を根絶し、減少させるための暴力ではなく、暴力を際立たせる暴力でしかない。だからこそ国家の名における戦争や、死刑それ自体は殺人罪にならない。国家を裁くのは国家だけだ。ただし、その国家が暴力において勝利し続ける限りであり、負ければ英雄は犯罪者へと突き落とされるだろう。暴力が正義か不正義かを決定し、法律をリセットする機能を持ち、法律を維持すること。ただ、暴力だけがそれを可能にすること。もちろん、それはたった一つではなく、複数あるのだ。それを取り違えないこと。つまり、目的と手段を。




「合法の手段を投入するあらゆる種類の運命的な暴力が、それ自体、正しい目的との和解しえない抗争のなかにあるとしたら、どうだろう? そして同時に、別種の暴力が…暴力とはいえ、あれらの目的のための合法の手段でも不法の手段でもありえず、そもそも手段としてではなく、むしろ何か別の仕方で目的にかかわるような暴力が…見えてくるとしたら、どうだろう?」
ベンヤミン『暴力批判論』





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警察が捕まえられない18歳窃盗犯、米国の「裸足の泥棒」にファン急増。

http://www.narinari.com/Nd/20091212824.html

米国でいま、18歳の泥棒が注目を集め、一部の若者から英雄視されている。彼の名はコルトン・ハリスムーア容疑者。無人の家に侵入しては食料やクレジットカードを盗み、逃走用に車やボート、小型飛行機まで盗んだ。それでも警察に捕まらず、森の中で生活していると言われる彼をメディアも大きく報道し、人々は「裸足の泥棒」と呼んでいる。ソーシャル・ネットワーク・サイトの「Facebook」には、ファンクラブ的なコミュニティが立ち上げられ、その登録者数は1万4,000人超。そこには「捕まって欲しくない」「逃げ続けろ」と、応援するコメントが数多く並んでいる状態だ。

米ワシントン州カマーノ島出身のハリスムーア容疑者が盗みを覚えたのは8歳の頃。このときに自転車を盗んで以来、彼は国境を越えてカナダでも強盗を繰り返し、疑いを持たれている強盗・窃盗は50件以上にも上る。

そんな彼が注目を集め始めたのは、昨年4月のこと。英紙ガーディアンによると、強盗などの罪で逮捕され懲役3年の刑を受けていたハリスムーア容疑者は、社会更生施設に移送される際に突然逃走した。すると、警察が「それまで彼が犯した事件よりも、スケールが大きい」と表現する動きを見せ始める。

昨年7月18日、故郷のカマーノ島で盗んだメルセデス・ベンツを運転していたところを警察に見つかり、追跡がスタート。島の曲がりくねった道でカーチェイスを繰り広げた末に、ハリスムーア容疑者はレストランの駐車場で車を飛び降り、そのまま森の中へ逃げ込んだ。車からはクレジットカードや携帯電話、デジタルカメラが発見され、デジカメには、森の中で自分を撮影したと思われる写真データが残されていた。この写真は、現在、彼の話題を伝える多くのメディアに掲載されている。

そして彼の逃走劇は陸だけでなく、海や空にも広がった。昨年11月には、カマーノ島から60キロ北にあるオーカス島の飛行場で、ラジオ司会者所有のセスナを盗み、約480キロ東へ飛んだ地点で着陸。一切飛行機の訓練を受けたことがないはずの彼だが、このラジオ司会者によると「盗んだクレジットカードで飛行機のマニュアルをネットで購入し、独学で学んだようだ」。このセスナ窃盗事件以外にも、別の小型飛行機を盗むこと2回、高速ボートを盗んだ容疑は 2回あった。

彼が事件を起こすときには、1つの特徴がある。それは裸足の足跡が残っていること。侵入した家や飛行機にもその足跡が残されているため、警察は彼の犯罪としているのだ。

そんな「裸足の泥棒」は不遇の幼少時代を送っていたとされ、ガーディアン紙では「彼が2歳のときに麻薬とアルコールに溺れた父は姿を消し、母もアルコール中毒に加え、いろいろな男性と遊んでいた」そう。彼の幼なじみの少年はラジオ局の取材に「本当はあいつは良い奴なんだ」と話し、幼少時代の環境が犯罪に走らせている要因だと考えているようだ。

こうしたハリスムーア容疑者の報道に触れた一部の若者は、ネットを舞台に異質な反応を示している。破天荒な行動を起こしながら、殺人を犯していないために英雄視する人たちが現れ、「Facebook」にはファンクラブも。そこには「捕まらないよう注意して」「おれはFBIには言わないよ」など、ひたすら彼を応援するコメントがズラリと並んでいる状態だ。さらに、ネットでは彼の顔写真がプリントされたT シャツも販売されているほか、「coltonharrismoorefanclub.com」のドメインを取得したファンクラブサイトも存在するなど、その人気は広がりを見せている。

ただ、最近彼は銃を盗んだとも言われており、警察は警戒を強化。訓練を受けずとも飛行機を操縦し、逃げ回る息子を「誇りに思う」と語る母親は、銃を盗んだ件に関しては「警察に発砲される理由を与える」と心配しているが、「生きて帰って来られるとは思えない」(ガーディアン紙)と、諦めの気持ちもあるようだ。

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ABC NEWS



ネクタイ・スワッピング

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ネクタイ=男性自身という見立ては、古き昭和の香りがするものだが、久しぶりにアレを首に絞めていると、いったいこの紐?布?はなんなんだ、という疑念が深まってくる。実用性はまったくないし、食事のときなどブラブラして邪魔でしょうがない。唯一効果があるとすれば、頭脳と肉体の繋ぎ目をぎゅっと絞ることによってもたらされる緊張感が、いままさにショーの最中であることを意識させてくれることくらいか。

それでは勿体無い。どうせ無駄なものを首に巻きつけるくらいなら、お洒落して楽しみたいものだ。だが、ネクタイのない人生を歩んできたので、手元に3本しかない。いったいプロサラリーマンは何本くらいアレを持っているものだろうかが気になって仕方なく、気付くと電車の中のスーツ族のアレに目がいってしまう自分がいる。

失業生活コンサルタントとしての最初の活動をネクタイ・スワッピングと名づけよう。失業者のネクタイをボクが代わりに身につけ労働現場に復帰させるプロジェクトだ。ご主人が失業してもネクタイは職を失わずに済むし、ボクのネクタイのバリエーションが増えるしでウイン・ウインな関係というか、まあボクの利益が大きいわけだが、コンサルタントビジネスとはそんなものである。

ネクタイで遊びたい。
ネクタイピンもいいね。


  • HarpoBucho
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  • By harpobucho / Dec 19, 2009 2:08 am

クロード・レヴィ=ストロース追悼のトークイベント+書物展

Saudade Booksのブログより。

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クロード・レヴィ=ストロース追悼のトークイベント+書物展

「野生の調教師 The Savage Trainer ― 従順な猿、狡獪な鳥、神秘の猫」

ギャラリーマキでは、20世紀最大の人類学者・思想家であるクロード・レヴィ=ストロース氏に捧げる一連の展示やトークを、批評家の今福龍太さんのキュレーションで2007年より企画・実施してきました。レヴィ=ストロース氏は、2009年10月30日、101歳の誕生日を控えてパリの自宅で逝去しました。展示を通じてその精神から多くを学んだことへの感謝をこめて、氏を追憶するささやかな集いをひらきます。今福龍太さんをお招きし、映像や音楽や詩の朗読をまじえながら、「レヴィ=ストロース」という類い稀な世紀の知性から受け継ぐべきあらたなヴィジョンについて語っていただきます。会場となるギャラリーでは、関連書籍の展示もおこないます。

日時:2009年12月18日(金) 18:00~ (入場無料)
語り:今福龍太(文化人類学者・批評家)
会場:ギャラリーマキ(茅場町)

※お席が限られておりますので、予約制とさせていただきます。
 お手数をおかけしますが、fax か mail にてご予約お願いいたします。

fax: 03-3297-0717
email: gallerymaki@hotmail.com

fax: 03-3297-0717
email: gallerymaki@hotmail.com

詳細はこちらをご参照下さい。
http://www.gallery-maki.com/

アクセスはこちらをご参照下さい。
http://www.gallery-maki.com/map/

気流舎のブログより。
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  • By harpobucho / Dec 15, 2009 9:55 pm

へブロン、コペンハーゲン

制作・撮影・助監督クリスランシー、出演キトウセイシの名コンビ。

「Japanese tour guide in Hebron」


「Japanese Hebron Tour January 17, 2008」


こんなイベントも。
「パレスチナ新世代の文化とアイデンティティー」
http://japan-middleeast.jp/kako_chuto-cafe/2009TalkSession.html

ファンキー・コペンハーゲン?
なんだか希望が持てる。


イルコモンズのふた。
▼[COP15] ほんとうのニュースは
http://illcomm.exblog.jp/10555507/


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  • By harpobucho / Dec 15, 2009 12:50 am

演出と演技

「生活ノタメデス」 by 川島雄三

助監督としてついた今村昌平に「どうしてこんな作品ばかり撮るのですか?」と詰め寄られて言った一言。




職場は撮影所であり、自分を大部屋俳優だと思い込むこと。スーツを着ているのはそれが衣裳だからであり、朝から晩まで働くのはそれがそういう長回しのシーンだからである。自分の好きなポジションに架空のキャメラをおったてただ演ずるのみ。熱演する必要なんて全くなく、ただ生活のために淡々と役をこなしていけばいい。

監督は、職場の上役ではなく、自分自身であることも重要だ。奴隷になるか俳優になるか、実存がそこには賭かっている。そして監督の指示は絶対であること。危険なのが気が緩む休憩時間である。そこで交わされる何気ない雑談タイムこそが、アドリブをめぐって監督(自分)と俳優(自分)との緊張関係がマックスに達する瞬間。ときには黒澤と勝新の間で起きたような緊張が走ることもあるだろう。だがそこは作品のそこそこの成功のためにお互い妥協してうまくやるべきだ。所詮はプログラム・ピクチャーだもの。

嫌な上司が悪役を演じている俳優(普段はすごくいい人)に見えてきたら、だいぶいい線いってると思う。

銀座シネパトスで森繁追悼企画
http://www.humax-cinema.co.jp/cinema/special/meigaza/ginza_meigaza2.html

『とんかつ一代』お見逃しな方はこの機会にぜひ。また行こうかな。

こっちも気になる。
誘惑の女優列伝 Part1 ひし美ゆり子
http://www.humax-cinema.co.jp/cinema/special/meigaza/ginza_meigaza3.html


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  • By harpobucho / Dec 14, 2009 10:33 pm

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