踊りの心情



踊る阿呆に観る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損


いつも冗談めかして云ってるダンスフロアのアナキズムのいいサンプルがYouTubeにありました。言葉以上の喜び悦楽を共有することは、いつか絶対死ぬ有限の個人にとって、この上ない幸せです。この辺りの話は、アルフォンソ・リンギス『何も共有していない者たちの共同体』と上野俊哉『アーバン・トライバル・スタディーズ』をつなげて思考しているところで。(マニフィスト:無為の/明かしえぬ/何も共有していない/無能な/者たちの到来する共同体)
共有する楽しいという情動は肯定されなければいけないね。





そういやasahi.comにアナーキズム再び、つながり求め新たな運動という記事が。

 ニューヨーク在住の批評家、高祖岩三郎氏(54)は近刊『新しいアナキズムの系譜学』(河出書房新社)で、アナーキズムの歴史を再解釈しながら、多様な運動の継続的な組織化の必要性を問うている。高祖氏に話を聞いた。

 ――なぜアナーキズムに注目するのか。

 「新左翼の崩壊した原因の一つは、階層序列による組織的な権威主義があったのではないか。新左翼がなぜうまくいかなかったかを考えていた90年代、米国でそれまでとは違う新しい運動が出てきて、若い活動家たちが漠然と自分をアナーキストと呼んでいることに気づいたのです」

 ――従来の運動との違いは。

 「アナーキズムは誰かが発明した思想ではありません。人類がもともと持っていた自律や相互扶助、直接民主主義という簡単な原理をもとにしたもの。この簡単なことが、99年のシアトル以降の反資本主義運動の決定的土台になったのです」

 ――アナーキズムは、資本主義への対抗軸になるか。

 「大きな集団を想定したものではなく、信頼できる友人や仲間との人間関係を築きながら連帯していくという行動様式が基本。そうした関係のネットワークを国家の存在とは別に、二重権力のような形で広げていく。国家を倒して反国家の秩序を打ち立てるとか、西軍と東軍が関ケ原で激突するような図式ではもう考えない。現実化しえない理想かどうかより、すでに社会の中にそれはあるのです」





この記事にひとつ指摘しとくとアナキストは「アナキズム」と自称し「アナーキズム」と表記するのはもぐり。

この高祖さんの話の前段に、橋本努が書いてるネオリベとの近似説は、『日本を変える「知」 』でもネオリベとグローバルジャスティスムーブメントの関係について誤解して書かれている。グレバー『資本主義後の世界のために 新しいアナーキズムの視座』やホロウェイ『権力を取らずに世界を変える』の世界観とリバタリアンを混同しているのは明らか。それこそ以前批判した浅羽通明『アナーキズム』で、アナキズムとミレニアリズムやニヒリリズムを混同したのと間違い方とほぼ同じ。
では何が違うか、それは情動種類としかいえないけれど、高祖さんの『新しいアナキズムの系譜学』ではエートスと書かれていたね。

では、もういちど最初の動画を観よう(とリンギスと上野の本を読みかえして)。そして音楽が世界を先取る話はジャック・アタリ『ノイズ』を読むべし! このクリエイトと協同を同源にもつ感情以前の情動部分を音楽は(そしてアナキズムは)核とする。

暴言するならその情動、リバタリアンには友人がいない、ネオリベは生権力に操られ安っぽい、いいところシャブ中だ。道徳が利己的で反クリエイト反潜勢的だから。ネオリベは「コントロールされた情動的次元」でしかない。

その不機嫌さから逃れて、音に身を漬す、複数人と笑う、飯を食う。それが自然とアフィニティ・グループ(高祖インタビューの「信頼できる友人や仲間との人間関係を築きながら連帯していくという行動様式が基本。そうした関係のネットワーク」のこと)を作っていくことが新しいアナキズムだろうな。


週末なので踊りに行きたくなった。

明日は渋谷でナイキ公園反対で踊ります。
子供を安くこき使いバカに高く売る守銭奴のナイキと排除型社会を目指す、野宿者の段ボールも掃除もしちゃうグリーンバードとか資本主義的偽エコ のシブヤ大学とかマジきもいのは、他人を出し抜くことを前提にしているからだな。




追記6/14:はてな界隈とかのアナキズム理解がめちゃくちゃダメダメなので、残念だ〜と徘徊していたら見つけました、素敵なテクスト。どうやら『テロルとクーデターの予感 ラスプーチンかく語りき2 』佐藤優/魚住昭の書評のようです。
とんま天狗は雲の上:テロルとクーデターの予感
引用:
「本書で特に高く評価するのは大杉栄だ。

 「社会契約論」を訳し日本の民主主義に先導的な役割を担った中江兆民を、天皇を意識したナショナリスト、その弟子であった幸徳秋水は中心性のないアナーキストと評価。とすれば大逆事件は本来起こるはずのない事件であり、偶発的な犯罪を弱体化し仮想敵を必要とした国家権力が起こした事件であると論じる。

 そして、幸徳秋水の系譜を継ぐ大杉栄を、国家権力という暴力装置がなくとも人間が本来有する友愛・秩序・相互扶助といった感覚で世の中は築いていこうと考えるアナーキズムAと設定する。それに対して、根底には何もない、何もかも自由であると考えるアナーキズムBの系譜がある。ニヒリズムに基礎を置くアナーキズムBは、実は新自由主義と親和性が高く、その結果、アキバ事件のような人間孤立を生み出し、それを束ねるための思想・政治形態としてのファシズムを生み出す。テロルやクーデターも同じ系譜だ。

 こう考えるととてつもない不安な時代に生きていることになるが、それに警鐘を鳴らしつつ、救いの道も示唆をしている。それが”贈与”であり、アナーキズムAである。」



佐藤優は、橋本努や浅羽通明よりも分かっているということだろうね。ここで便宜上アナーキズムAとされているものこそ『新しいアナキズムの系譜学』でエートスとして書かれている、そして高祖さんの前書『ニューヨーク烈伝』『流体都市を構築せよ!』で実践が描かれていること。そこにネオリベやテロルの親和性など微塵もない。


おもしろいことに佐藤優は、雨宮処凛さんを大杉栄の系譜に置いているようだ。

まるで太宰の桜桃忌のように、大杉栄の命日にお墓にゴスロリが集まることを、HarpoBuchoが聞きあて∞+∞=∞が雨宮さんに伝えた。そして∞+∞=∞は『COMMUNIO COFFIN』で雨宮処凛×鶴見済特別対談「自殺からアナーキズムへ」を企画した。素人の乱を含め、今の日本の「新しいアナキズムの系譜学」は、海外の流れと大杉の系譜を結節させたあたりなのは間違いない。さてどうしよう、とにかく踊るか。




新しいアナキズムの系譜.jpg


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  • By intellipunk / Jun 12, 2009 3:24 pm

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