クリスマスより自分の踊りを踊れ

今年三回目の素人の乱のサウンドデモ。セカンド・サマー・オブ・ラブのずいぶん変わって土着化した高円寺の流儀が、回数を重ね洗練されてきた感。これがナンセンスだという批判言説より、現実の経済の方が洒落にならず非合理でナンセンスだと馬脚を現した2008年。今年の街遊び納め気分で仕事をサクッと終わらせ高円寺へ。

警察バスかまぼこ2台が浮かれる高円寺駅前に不粋に横着けされていた。既に「じゃましマンの限界演芸展」で『日本心中』の大浦信行監督が言った通り、撮影スタッフを連れて来ていた。じゃましーのトラメガの饒舌さは、個展から続く芸人的本番モードが入ったままで頼もしい。警官いじりのネタの切れ味は冴え渡って、こちらのモードを談志の高座へ集うそれへ持っていってしまった。松本くんと陽光くんのトラメガの掛け合い漫談も調子良く景気良く弾けまくって滑らない話だった。

クリスマスという逆境の参加者には貪欲なモチベーションが有り余り、出発前から昂揚としていた。発泡酒は何種類かあり、寒さ紛らわせに呑み比べて出来上がっていた。クリスマスというモノの親しみやすさからか、イシューに対する解釈の自由さが伝わって来た。吊るし上げられたサンタクロース、パロディーでしかない聖歌隊。自分らしいクリスマスの誠実な回答を心に用意して集った、自分の祭をやる意気込みを、そのテンションの高さは現していた。クリスマスに託つけて2008年最後の祭をしようという奴らばかりだったに違いない、物好きな暇人ばっかが少数精鋭100人程だったか虎視眈々意気揚々。

サウンドトラックも∞+∞=∞セッティングで温めのダンス物やなんかかけて場を解してたいた。車体は紅白幕に「クリスマスはウソだった!」と東スポ冗談調なスローガン。この際、クリスマスの消費主義や恋愛主義以上にクリスマス価値観の同調主義や権威主義をちゃかしてやろう!ってな冗談企画。これが真面目にバカバカしいことに一生懸命になってみるってのか、既に車はお祭の山車だった。

一発目サクちゃんのDJ。「メトロポリタンミュージアム」でポップで和むスタート。でもやっぱり、シューゲイザーから「Love Your Money」へと雪崩れこんだ。完璧なDJとしてこの高円寺ええじゃないかのスタートを祝福した。何度も歓声をダンサーから勝ち取りながら青梅街道まで進んだのだ!

「ギリシャ(高円寺)暴動!」じゃましマン作プラカードを掲げる雨宮さん
「警察←エリートVS公安←労働者」じゃましマン作2枚目のプラカードを掲げる松本くん
三枚目の「パンクロッカー労動組合」は働の字がニンベンが抜けてて笑かす。

今日の最功労者「パンクロッカー労動組合」のメトロノーム村上/ヒマジンKIKUのDJ。杉並署にデモ申に行く途中に職質に合う村上君、彼の純粋なマヌケさが現れてて完全にヤラれた。露骨な社会的排除が非正規労働者には課せられる、正直だけど素直じゃないぜ!ClashはWhite RiotかComplete ControlかなんかでDamnedはNew Rose。反抗的で実直で真っすぐで由緒正しかった。ハロゥハロゥそっちはどれくらい酷い?「Smells Like Teen Spirit」はロスジェネの国歌の様に鳴り響いた。あとは色々かけてたけどもう騒ぎ過ぎてて忘れた。グランジ世代はプロザックジェネレーション。オルタナは、鬱で死にたくなる新自由主義時代の親よりも豊かにはもう成れないと確定した世代の音楽。
もう例えばアタリでもギターウルフでもストラッグルでもいいけど、テンション上げ過ぎてキックとノイズしか聴こえない状態の原始的なロックンロールになっていた。アンチノックかDOMがその場に現れたかの様なモッシュ。ガードレールが最前列前の柵に見えてきて、警備の警察もサマソニにいる海兵隊SPかのような仕事ぶり。駅前南口〜青梅街道〜環七〜高円寺中央通りをコの字に高円寺南二丁目をぐるり一周して最後は内巻きに古着屋の軒先を舐めてスタート地点の高円寺中央公園に帰ってくる。年末の世間では押し迫ってきた気分+クリスマスのちょっと異常な大事な日にしてる感、が合体した空気感を引裂きながらも、街のキャラクターで調和していた。何が鳴っててももう関係なかったのかもしれないってなぐらい、その空気に酔っぱらってしまっていた。そして身体は限界を超えているのにステップは止まらないトランス状態で、好き勝手な歓喜を上げていた。

やっぱりベタな最良の大味な選曲が、警察や路上の人から見えるサウンドデモには合うのだろうか。DJイルコモンズの必殺連発、UNDERWORLD「Born Slippy」のremix?でグアッと大衆に突き刺さり蛸踊り、世界一高円寺が似合うアンセム的「TRAIN-TRAIN」でまた音楽的信仰心あるパンクスが大合唱しながらモッシュ、あれは誰のバージョンだ?「君の瞳に恋してる」で死ぬまで踊らされる気分になっちゃってそこら中がミロスガレージになってた。
TRAIN-TRAINでは、その価値観の純粋な信者となって、その唄世界と高円寺のこの今の情況とのシンクロに熱くなり、祭に陶酔する踊り子となった。日本シリーズ優勝時のようなビール掛けが、警備と称し取り囲む警察さん達にも振る舞われ、それが一つの様式にまで高まった。ヒロトの声がクリスマスの街中で、高円寺の公園側の古着屋通りに響き回った、聖歌のように愛誦される心情パンクスの人々の元へ。嬉し泣きするに近い感情で、警備と握手しながら公園へ。公園解散後も陽光松本お母さんDJ達のダイブのは続くなど、気分は沸騰したまま、幾分か収まるまでは、踊り疲れながらもお互いを讃え合ううちら。

打ち上げで「高円寺きのこ」の話をした。直接繋がってなかった友人たちが同じく出没していた「これから何かが興りそうだった場所(陽光くん)」場所。今夜はその熟した成果だったのではないだろうか。Yonchome Cafeから眺め下ろされる場所で集団は終電まで呑み語った。


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  • By intellipunk / Dec 26, 2008 3:12 pm

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