デヴィッド・グレーバーとか

「アナーキズムとアートの現在」

■日時: 2006年 11月6日(月) 17:00〜21:00
■会場:明治学院大学白金校舎アートホール
■主催:明治学院大学文学部芸術学科、『VOL』
 文化人類学者であり、Direct Action Network、People’s Global Actionの活動家であるデヴィッド・グレーバーの来日と著書『アナーキスト人類学のための断章』の出版、および『ニューヨーク烈伝』が近日刊行される翻訳者・批評家の高祖岩三郎の来日を記念して、『VOL』の編集委員である『自由論』の酒井隆史、『国家とはなにか』の萱野稔人、『無産大衆神髄』の矢部史郎、そして美術、建築誌などで活躍する小田マサノリを迎えたシンポジウムを行います。シアトル、ジェノバ以降のアナーキズム理論=運動の最前線を通して、アートによる世界変革の可能性から、都市空間の再構築に至るまで、幅広く論じていく予定です。
■タイム・スケジュール
17:00 挨拶
17:10 高祖岩三郎(翻訳家・批評家)/小田マサノリ(文化人類学・文芸評論、中央大学)/矢部史郎(活動家)/萱野稔人(政治哲学、東京大学)/酒井隆史(社会思想、大阪府立大学)
18:45 デヴィッド・グレーバー (文化人類学、イエール大学)
19:45 全体討議
司会  平沢剛(映画研究、明治学院大学)
世話人 門間貴志(映画史、明治学院大学)
一般公開・入場無料 同時通訳あり
———————————————
[VOL]チーム+イルコモンズさんってことで、ある意味では、日本の若手の先鋭的な理論を集めた感じで、これ(http://www.tbsradio.jp/life/personality.html#charlie)とは真逆な感じがいい。パンクがあるかないかという意味で当然僕は前者にシンパシーを持つんだが。




昨日一昨日とデヴィッド・グレーバーの来日イベントに参加してきた。
RLLは彼に日本で一番有名なアナーキストのヒップスター「大杉栄」のTシャツを贈与した。これがRLLの純粋贈与。彼がRLLを着て海外で活動することを思うと愉快でたまらない。高祖岩三郎さんにも「T.A.Z.」も買ってもらって、おまけに「T.A.Z.」の著者ハキム・ベイにもプレゼントしてくれるという。RLLの与り知らぬ所でTシャツがメッセージを送ってゆく、ボイジャーの様に。

デヴィッド・グレーバーの話は非常に面白かったし、話題は多岐に渡った。基本的にはネグリ=ハートの議論と齟齬ないまま、現場(アクティビズム/ フィールドワーク)からの理論の紡ぎ方を重視する姿勢が特徴か。ネグリ=ハートの〈帝国〉や柄谷「世界共和国」やモース贈与論やアルチュセールAIE概念を思わせるレイヤー状の思考を通過し、アクティビズムのスーザン・ジョージやナオミ・クラインと同様の視線から発せられる言葉に、新しさはないがすんなり入ってくる解りやすさがあった。世界を思考しかつ具体的な現場の経験をしてきた人の独特の回答があって面白い。たとえばそれは「低理論(ロウ・セオリー)」という概念に結実している。これの説明はちょっと誤解があってはいけないので簡単には書かない。これから出る『図書新聞』で矢部史郎さんとグレーバーさんとの対談があり、その部分が存分に語られたらしいので、チェック!思想家件活動家の日米代表の邂逅には期待が持てる。でもちょっとだけいうなら。[VOL]の中にも「低理論」と「高理論」の綱引きがあり、これは現場とアカデミズムの古くて新しい問題なのだとも思うのだ。であるから、今日のシンポジウムの萱野稔人さんの哲学博士からの応答を知りたかったのだ。僕は実際はねっかえりだけれど「高理論」への憧憬と尊敬があるんだな。
とにかくデヴィッド・グレーバーの『アナーキスト人類学のための断章』(以文社)は今のタイミングは必読だと思うのだ。なし崩しに煽動された右傾ポピュリズムにデリダ(?)経由のアカデミズム理論が歯が立たない状況で、アナーキズムという倫理で僕らはいかに歩いていけるのかとね。

グレーバーはこの後メヒコ(メキシコ)に飛ぶらしい。亡くなったインディメディアの知人の意志を継ぎつつ、11/20のEZLNらの呼びかけ(?)で世界中が一斉に抗議を予定している統一アクションに向かうようだ。

マイミクの友人に教えてもらったけれどメヒコでは、7月2日に行われた大統領選の不正疑惑をめぐる一連の運動も大規模にあった。中南米の民衆運動の盛り上がりの中で、アメリカは威信をかけてメヒコ親米政権をサポートする。グレーバーは言ってたね、アメリカはNAFTA (北米自由貿易協定)を作ってグローバリズムを勧めようとしながらメキシコ国境に壁を作る矛盾がある。グレーバーはグローバリズムで世界中の民衆レベルが繋がることに希望を持っている、楽観的で明るい彼のキャラクターは信頼に足る。


不謹慎だが僕はこの時代が面白くてしようがない。象徴として1999シアトルから2001.9.11NYそして戦争と反戦の時代。どのくらい世界の悲しみは増えているのだろうか。しかし国家レベルだけじゃなく群衆レベルで世界を知覚し繋がってきたことの喜びも増えた気がする。そうなんだ68年特権化より、今を楽しめ!



追記☆
ゆっくすさんのMixi日記でシンポジウムの大変几帳面にレポートがあげられています、必読!


  • Intellipunk
  • Tag:
  • By intellipunk / Nov 06, 2006 6:20 pm

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