バビロンのゾンビ
夜中にふとある漫画を読みたい衝動に駆られ、深夜の阿佐ヶ谷の漫画喫茶へ。宿泊ではなく漫画を読む目的で漫喫に行くのは何年ぶりだろう。漫画を読む習慣はあまりない。
マッサージ機のある席で5時間パックで1000円。安い。マシーンの振動の中で14巻を一気に読む。が、一気読みのカタルシスが得れなかったのは最近発売された最終巻が置いてなかったからだ。今日コンビニで立ち読みでもしよう。
山本英夫の『ホムンクルス』の漫画の存在は以前から知っていたが、特別に興味を持ったのは3月11日の大震災の日、映画を観ていた神保町から家までの長い遠足中に友人と交わした会話がきっかけだった。
「瞼が麻痺していてずっと左目が開きっぱなしなんだよね。乾かないように瞬きは手でするの。なんかね、開きっぱなしだと、普段見えないものが見えるんじゃないかって妙な期待しちゃって。実際、左目だけで見ると、なんか世界が以前と違うように見えるんだ。」
と冗談ぽくいったら、なんかそんな漫画あったよね、という展開になった。この日、街は帰宅難民で溢れ、目の前に広がっている世界は誰の目からも異様に映っていた。そんな日の会話を昨晩急に思い出したのである。
▼ウィキペディアによる『ホムンクルス』のあらすじ
新宿西口の一流ホテルとホームレスが溢れる公園の狭間で車上生活を送るホームレス・名越進は、医学生・伊藤学に出会い、報酬70万円を条件に第六感が芽生えるというトレパネーションという頭蓋骨の穴を開ける手術を受けることになった。その手術以降、名越は右目を瞑って左目で人間を見ると、異様な形に見えるようになった。伊藤によると「他人の深層心理が、現実のようにイメージ化されて見えているのではないか」と言い、彼はその世界をホムンクルスと名付けた。そして、名越は様々な心の闇を抱える人達と交流していく。
まくらが長くなったが、ここで問題の写真である。
5.7原発やめろデモのダンスブロック、バビロン解放戦線RADIO MAROONの異議申し立て中に撮影したものである。RADIO MAROONは教育的なDJ(ディスクジョッキー)集団である。代々木体育館前の山Pのコンサートのために集まったジャニーズファンの女子たちのために、あえてこの日2度目のパブリック・エネミーの「ファイト・ ザ・パワー」を選曲し、柵を飛び越えてデモに参加することを彼女たちに呼びかけたのだった。残念ながらジャニーズとパブリック・エネミーの連帯は高い柵(物理的にも心理的にも)のせいで実現することはなかった。
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=2WHe5fxS3dA&feature=player_embedded[/youtube]
そのとき、ふと目線を車道側に移してみると、デモを警備している警官の肩から挑発的な格好をした女性がにょきっと生えているを目にしたのだ。ホムンクルスである。この警官の深層心理は単純明快で、代々木体育館前の女子の群れを目にして職務中にも関わらずエロいことを考えてしまったのであろう。それはとても自然な反応だと思う。人間はどんなに真面目な場面でもふとエロいイメージが頭をよぎることがある。ホムンクルスは他人の深層心理のイメージ化であると同時に、それを見る側の深層心理を反映したものだという。実はあの警官の欲望はボクの欲望なのかもしれない。
警官も一人だと無害な愛すべきエロ人間なわけだが(エロスは生への信仰であり常にデモスの側にある)、集団になるととんでもない有害な暴力装置と化す。ラスタはその非人間性を「バビロンシステム」と呼び、ナイジェリアの闘士フェラ・クティなら、上からの命令に従うしかない不気味な塊を「ゾンビ」と呼ぶだろう。日本の警察は、気に食わない奴を誰でも逮捕できる「コーボー!」(公務執行妨害罪)という呪文を使う呪術集団のようである。こちら側もバビロンを凍らせ、ゾンビを溶かす呪文を開発しなければならない。
「起きろ!伏せ!前え進め!殺せ!殺されろ!」
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=iBgewcFh-cg&feature=player_embedded[/youtube]
「代々木警察 きたねえ警察 代々木警察 ファシストの手先 誰でも勝手に不当逮捕さ」
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=_I7J6RARl_Q&feature=player_embedded[/youtube]
5.7原発やめろデモ!!!!! 弾圧救援会
http://57q.tumblr.com/
渋谷反原発デモで誤認逮捕された体験談
http://hara19.jp/archives/6482
- HarpoBucho
- By harpobucho / May 11, 2011 1:15 pm