反撃の縁起物尽くし
数日前に届いた未開封の通知を開けてみたら、赤字で大きく「差押予告」って書いてあった。この種のラブレターはいろいろ送られてくるので開封しないのが癖になってしまったのが仇となった。お役所は無視されるのを一番嫌う。出頭して涙ながら(都合がいいことに左目から涙はいつでも流せるのだ)に窮状を訴えれば、帳消しにはもちろんしてくれないが、先延ばしにはしてくれる。先延ばしの限界に挑みたかった。
れはラブレターなんかじゃなくて、財産を差押えし、かつ期限までに金を払え、という脅迫文であることにようやく気づいたボクは重い腰をあげて役所に行った。いったいどうすればいいのか、と指示を仰ぐと、担当者の方は慣れた口調で説明してくれた。銀行が差押えしたぶんが自動的に住民税として引き落とされるのでご安心を、とさわやかな笑顔で。
仮に期限までに金を払えば、差押を解除することができるが、結局は同じこと。どちらか選んでくださいと言われたので、お互いの手間を省くために何もしないことにした。そうして2ヶ月分の生活費が急に消え、ライフスタイルの変更を余儀なくされたわけだ。
不吉な前兆は確かにあった。
差押の通知が届く前日に金のなる木が完全に死んだ。木の内部の潜勢力を信じていたが、中身は空洞になって完全に生命エネルギーが消滅していた。
http://www.rll.jp/hood/text/harpobucho/20110304151347.php
この日記で書いたとおり、ボクは近所の公園で金のなる木を拾い、それを入院中に枯らしてしまい、金運の神様であるハワイのティキドールの呪力で再び甦らせることに成功するが、大震災後のドタバタで放置気味になってしまい死に至らしめてしまった。反省している。
金のなる木に変わる縁起物を構築しなければならない。さっそくボクは新たな庭作りを始めた。
鶴、亀、松、竹と縁起物尽くしである。竹は大宮八幡宮の裏の竹林で拾ってきたものを加工して、添水もどきにした。空中のアイビーに水をあげると下の階の洗濯物に垂らしてしまう危険性があるため、竹筒で誘導して鶴が飛ぶ鉢に鎮座する亀の頭を濡らすエロチックな仕掛けにした。梅が足りないって? 梅干しを食べながらこの庭を眺めればいいのだ。
さらに奥を覗き込めば、壷の上に招き猫である。日常生活の中に一つの別天地を持つことを「壷中の天」という。壷のなかには俗事(金)を超越する仙界(楽園)があるといわれている。どんな境遇にあろうとも、自分だけの壷中天を創ることが可能であれば、いつでも安泰なのである。
あとは今年も蓮の華が咲けば完璧である。俗世から遠く離れ過ぎてしまった不安もなくはないが、おおむね未来は明るいと信じたい。
- HarpoBucho
- By harpobucho / Apr 22, 2011 1:18 pm