ラジオ&カセットの悦楽
長く使っていたアンプが壊れたので、しばらくオールドスクールなラジカセを愛聴してた。新しいプリメインアンプをネットで物色してるとオーディオマニアたちの批評の深い世界に迷いこんでしまい何を買っていいのかわからなくなってしまった。まあ、予算と条件が決まっているから落ち着くとこに落ち着いたが、オーディオ批評ってのはあれいったい何なんだろう。未知の世界は興味深い。
音楽でアガる(昨晩のDommune大工&鳶B2Bにはアガった!)ってよりも音を美しく再現することに全力を尽くす者たちか。彼らには一笑されそうだけど、古いラジカセの籠った暖かい音は、ボクにとっては最高にいい音なのである。ロックステディやダブ、インド音楽などはデジタルよりもカセットテープの弛緩した音が気持ちいい。
もしご自宅にラジカセ栄えのするカセットテープが眠っている方は、最新の音楽CD(ジャンルいろいろ)と交換いたしますのでご一報を。PCでランダムに音楽を聴くようになってから一曲一曲に対する想いが減ってしまったような気がするが、ラジカセから聴こえてくる音はなんだか一曲一曲ありがたく、そしてこの不透明で悪質な音をハイパーデジタル時代に聴くことになんだか贅沢すら感じてしまう。
中野図書館で借りてきた講演テープ。
三島さん堅いし、林さんかっこつけだし、梅原さん真面目だし、やはり一番聴いていて楽しい講演は秋の夜長の淀長節。4歳で映画にふれ、16歳のころにはすでに「一生を映画に捧げる」ことを誓った淀長さん。映画に対する愛があふれまくっていて感動する。浮き草暮らしのボクは、こんなふうに一生ブレない軸を持っている人に憧れる。「楽隠居なんて考えたこないね。働かないで遊び回ってるのが一番ダメ」と淀長さんに夜中に説教されると、そろそろ楽隠居生活を卒業して本気で動き始めようかな、と思ってしまう。とりあえずこの秋冬は映画をいっぱい観て人生について考えよう(と楽隠居路線を諦めきれない)。
やはりなんといっても講演テープものの最高傑作は小林秀雄だろう。ボクは彼の著作に全く興味ないんだけど秀雄節が好きでよく聴いている。CD化もされている。
コカインをキメた古今亭志ん生のような早いのだが遅いのだがわからない絶妙な節回しがたまらない。声質も志ん生に似ている。落語のようにボケたと思ったら、切れ味鋭いナイフのように言葉を畳み掛ける。「諸君たちは~」とインテリ目線のトークも秀雄クラスだったらなんだか心地よい。
ラジオもいいね。FMラジオのパーソナリティのお姉さんの声はいい。年下だとしてもやはりいつまでもお姉さんって感じ。ネットラジオになっちゃうけど、Pirates ChoiceのDRUWEED氏の浪速の兄貴っぷりもいい。さすが「浪速のコクソン」と言われているだけはある。
ここで過去の放送が聴ける。DLしなくても画像をクリックするだけで聴けるので手軽でよい。
http://www.rock-a-shacka.com/pirates_choice.html
シュガー・マイノットやグレゴリー・アイザックのトリビュートセレクションや、スカ、ロックステディ、アーリーレゲエ、ルーツ、ダブ、ラバーズ、ダンスホール、とどれを聴いても間違いないけど、個人的なおすすめは、♯234のJAHTARI SELECTIONと♯268のUPSETTER SELECTIONかな。Soom TのDirty Money (汚金)は名曲だと思う。ラスタファリズムの神ジャーとコンピューターメーカーのアタリが合体したJAHTARIはそんな感じの癖になるドイツの音。UPSETTER SELECTIONは、ヘップトーンズのいい加減な曲紹介がレゲエらしさを象徴してると思う。
ラジオ&カセット&レゲエ、この組み合せは最高。講演テープもトースティングに聴こえてきたよ。節ってのが大切なんだ。
- HarpoBucho
- By harpobucho / Nov 08, 2010 2:32 pm