脱呑気ののんきさ
やばい。もう11月だ。そろそろ呑気に遊んで暮らす生活にピリオドを打たねばならぬ。荷風気取りで散歩や読書に明け暮れている場合じゃない。平日昼間から歌舞伎を見たり美術館に行ったりする河原貴族生活は控えよう。
新橋演舞場に行く前に調子にのって銀座アバクロでマッチョな外人と記念写真を撮ってもらったが、そこに写っている自分の呑気な顔といったら! それに比べて国立新美術館で見た没後120年ゴッホ展での彼の自画像の尋常じゃない切迫感といったら! 青い炎がメラメラしてる。
「ぼくは100年後の人々にも、生きているかの如く言える肖像画を書いてみたい」とゴッホは死の一ヶ月前に妹に宛てた手紙を書いている。アルトーがゴッホに超共感しまくりの『ヴァン・ゴッホ 社会が自殺させた者』で「ゴッホ展はいつの時代においてもひとつの事件である」と書いているが、ボクにとっても事件だった。苦悩の中で画家として働きまくったわりには生前に絵が一枚しか売れなかった残念な人ゴッホに長時間見つめられ「働け」と説教をされているかのようであった。
平昼の美術館には有閑マダムや美大生に混じって無職らしい風貌の輩(まあ、ボクらのことだ)がゴッホと真剣に向き合っている。ゴッホの生涯を追いかけるこの展示は何かと苦悩を強いられる現代人の心を強く打つ何かがある。
幸福のヒントもある。ゴーギャンとの南仏での愛のコミューン生活を描いた「アルルの寝室」。ベッドには枕がふたつ。完全な休息を表現したらしい。でも悲しいことにゴッホとゴーギャンのサマー・オブ・ラブはあの有名な耳削ぎ事件でわずか2ヶ月で終止符を打つ。ゴッホを成仏させるためにソウルメイト平井堅は鎮魂歌を熱唱している。タイトルは「太陽」。
あなたを抱きしめたら迷いはない・・・
炎は消えない・・・
http://www.tbs.co.jp/event/goghten2010/
今年もあと2ヶ月。遊びまわる生活をやめ、部屋に籠ろう。社会起業家のビジネススクールでゲットした活動支援金で早速ホームシアター用のプロジェクターを購入。わがカフェ・タンジール内に社会派劇場ハーポシアターが完成した。籠ってシリアスな映画を観まくり、呑気な気分を吹き飛ばそう。
完全なる休息である楽園生活を2ヶ月で終わらせてしまうのはもったいない。ゴッホの教訓を活かそう。冬はお籠りの季節である。再び外に勢いよく飛び出すためにも完全なる休息は必要なのである。
シリアスなお蘢り生活に入るので、御用の方は火曜日の気流舎にお越しくださいませ! 下北沢に遠征して籠っております。14~23時。21時から毎回レア映像の上映イベントやります!
添田唖蝉坊の弟子石田一松の「のんき節」
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=r1pP-WfcCBA&feature=player_embedded[/youtube]
岡大介&小林寛明「平成のんき節」
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=2Lz5eDppFS4&feature=player_embedded[/youtube]
- HarpoBucho
- By harpobucho / Nov 03, 2010 1:36 pm