付箋のフェティシズム

付箋のない生活なんて考えられない。

常に付箋を持ち歩いていないと落ち着かないボクは、出かける前には必ずズボンのポケットの中に何色かの付箋を仕込む。付箋がキレる禁断症状が起こるので手帳やカバンの中にも予備のものを仕込んでおく。

何のために付箋を使うのかというと、読書中に本のツボを押すためである。その本のツボを発見したときに付箋が手元にない状況は本当に苦しい。そんなときはポケットをまさぐってレシートなどを発見すると、引きちぎって簡易付箋を作成するのだが、やはりそれでは的確にテクストのツボに刺激を与えることはできない。読書という行為は、本から快楽を得るためだけではなく、本にも快楽を与えてあげなければならない、というのがボクの持論である。本を通じて著者との交歓を楽しむのである。著者があの世にいる場合はさらにその重要性を増す。付箋にぐにゅぐにゅした文字を走り書きして霊符として活用することもある。

fusen

悲劇は度々起こる。ズボンと一緒に洗濯された付箋の無惨な姿を何回見たことだろうか。付箋としての機能を失った歪な紙の塊・・・なんと美しい彫刻物だろうか! 



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