迷宮を抜けたらそこは砂浜だった 前編

どうでもいい日常の些細な断片を切り取って、そのなかにある小さな喜びを大袈裟に増幅させて自己肯定感を得るのが好きで文章など面倒くさいものを書いているわけだが、リア充体験のレポートというものを書くのはしんどい作業で、下手するとその体験の大切な部分を殺しかねない。なんでもそうだが余計なことはなるべくしないほうがいい。その体験から得たフレッシュな感覚が日常のなかにじわじわ溶けていく、その余韻をじっくり楽しむのが一番良い体験の消化の仕方だと思うのだが、この旅は気流舎インターンシップの舎員旅行、どうやら報告を書かなければインターン生活は終わらないらしい。

迷宮へ入口の鍵は気流舎のインターンシップ中に手にいれた。店主からLABYRINTH 2010というパーティに行こうよ、と誘いを受けていたのだが、チケット代が高すぎる!なんとかフェスのカンパ代の16倍の金額もするなんて払えないよ! と躊躇していたところ、気流舎の常連さんがボクのインターンっぷりを買ってくれてチケットを安価で譲ってくれたのである。だんだんいい流れが生まれきた。

舎員旅行会議では、LABYRINTH 2010 からそのまま南伊豆に行こうという案が急浮上。南伊豆のビーチまで徒歩数歩という最高のセッティングの古い日本家屋に移住して、お金のあまりかからない素敵な暮らしをしているとの噂の友人ご一行も迷宮入りするというので、出口は東京ではなく、一緒に南伊豆の楽園に抜け出よう、そんなプランが出来上がった。横浜の社会起業家育成のビジネススクールに通ってたのも、その一環として気流舎にインターンに行ってたのも、すべてはこの舎員旅行のためだったような気がしてきた。

インターンシップ最終日、インターン報告とビジネスプランのプレゼン(意外と熱い支持を集めた)を終えたボクは、インターンでお世話になったお礼に気流舎にアイザック・アシモフの『宇宙気流』という本を贈呈した。SF小説は読まないが単に名前の響きがいいと思ったから。結論を言うと個人的には今回の舎員旅行はこの本のタイトルの言霊にかなり引っ張られたものとなった。こんなに夜空を、そしてその先の宇宙を眺め続けた1週間は今までになかった。天体マニアの快楽が少しわかってきたかも。

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最高質の音がでるFUNCTION−ONEと呼ばれる最新テクノロジーのスピーカーの間に、ネイティヴアメリカンの住居であるティピのDJブース。その前には美しく揺れ踊るキャンドルの一見弱々しくてみえて実は力強い火たち。デコもシンプルに抑えられ、伝統的な叡智と最新テクノロジーの融合によってプリミティヴな感覚を身体に甦らせるための効果的な配置を感じた。

何よりも素晴らしかったのはコントロール不能な夜空のセッティング。早いスピードで青のキャンパスを横切る白雲、不穏な雰囲気でゆっくり忍び寄る黒雲、だんだんと存在感を増していく妖しい月、月に負けじと自己主張しまくる木星・・・流れる音楽の世界観を空がVJのように反映しているのか、DJたちが空模様に影響を受けているのか、あるいはその相互作用なのか、とてもドラマチックだった2日目の夕暮れ、逢魔が時。月下でのFUNCTIONのプレイでエスカレーションしながら、ボクはなぜだがMJに想いを馳せていたのだった。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=ogq8AAY0RKY[/youtube]

アポロシアターではじめてムーンウォークを披露したときのMJ。宇宙への誘惑? 普段行かないLABYRINTHのようなコズミックなパーティに行くと、MJこそが全人類の理想型のような気もしてくる。この後MJは人類の次の段階に向けて自分の身体を進化させようと試みるが悲しい結末を迎えてしまったのは周知の通りである。MJのポスト・ヒューマン&アフロ・フューチャリズム感覚について考えるのはすごく重要な気がするが、実をいうとまだ『THIS IS IT』すら観ていないので観てからいろいろ考えよう。今は最高の音でただ踊ることを楽しもう。

つづく



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