スペクタクル&フェティシズムの世界

「茶の湯」の世界に触れることによって「わび」のフェティシズムを味合うことを覚えたが、やはりどうも根がスペクタクル志向の人間らしく、派手な驚きのあるものを好む傾向にあるみたいだ。

その意味で、『千夜一夜物語』(アラビアン・ナイト)の世界観は、エキゾもエロスもファンタジーも毒もあり、スペクタクルの権化のようなもので、現実逃避にはもってこいである。

誰もが知っている「アラジンと魔法のランプ」の話は、アラビア語原典には収録されておらず、本来はアラビアン・ナイトとは別系統の物語とする説が有力らしい。ディズニー映画の印象操作で中東のどこかの物語だと思い込んでいる人が多いが、なんと舞台は中国なのである。

19世紀末のイギリスの画家ウォルター・クレインの挿絵を見てみよう。ウォルター・クレインは、ウィリアム・モリスが主導したアーツ・アンド・クラフツ運動に関わり、絵画だけでなく児童書、陶磁器タイルなど多くの装飾芸術を手掛けており、しかも浮世絵にハマってたというのだから、そうとうな数寄者(フェティシスト)である。その影響が挿絵に活かされていて面白い。

簡単に物語の筋を書いておくと、家業も継がずに遊び歩く若旦那系ルードボーイ、アラジンがマグリブ(邪推するにタンジール)からやってきた魔術師系ハスラーにそそのかされ、穴倉から魔法のランプをゲット。ランプを擦ると魔神があらわれ、その力で大金持ちになったり、皇帝の娘と結婚したり、アフリカに飛んだり、魔術師を退治したりするお話。

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  • HarpoBucho
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  • By harpobucho / Nov 18, 2009 12:35 pm

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