アタリまえだのクラッカー
早稲田大学のジャック・アタリ講演会に行ってきた。ビシっとしたスーツを着こなしたエリートサラリーマンみたいな人種に混じって、よれたアセファルのTシャツで挑む。仕方ない。アタリといえば、「十代の暴動」を連想してしまう少数派だ。
アタリの本ちゃんと読んだことないけど、図書館で見かける『カニバリスムの秩序──生とは何か/死とは何か』とか『ノイズ──音楽・貨幣・雑音』みたいな魅力的なタイトルのような変態発言を期待して行ったら、経済成長を前提としたあたりまえのことしか言わないの。
「今さえ楽しければいいという享楽的な考えはよくない」とボクの依拠している江戸っ子美学も批判されちゃって。エリート官僚には、下々の者の気持ちなんてわからないんだわ。
田中康夫が聴衆にいてアタリに質問してたけど、人前で話し慣れている人のマイクを通じた声は美しいな、とか質問の内容とはまったく関係のないことを考えていたわけ。脳裏をかすめるのはたとえばこんなフレーズたち。
「モノを持たない得 出生しない得 悩まない得」
「今日いいもん食べておかねえと明日はわからねぇ」
「お天道さまと米の飯はついて回らぁー」
「若いが二度ある物でなしと知りながら 道楽せぬはあほうの頭取」
「夢の浮世を ただ狂へ」
「研鑽を積んだ学文も色恋の世界には及ばない」
「柳やなぎで世を面白う うけて暮らすが命の薬 梅にしたがひ桜になびく 某日そのひの風次第 虚言も実も義理もなし」
「明日がわからないから今日が楽しい」
「楽に生き楽に死に おあとがよろしいようで」
以上、藤原千恵子 編『図解 江戸っ子のたしなみ』より
ボクのような就職活動家にとっては有害思想だけどね。
- HarpoBucho
- By harpobucho / Sep 18, 2009 8:29 pm