冷静と情熱のあいだ

河内音頭は、タイ北部の芸能「モーラム※」などとも似た物語り歌であり、お盆には死者を弔うためのダンス・ミュージックでもあるという、少なくとも二つの主要な役割を持っている。こう書くと、どっちから先に入り込めばいいのか戸惑いそうだが、踊りながら聞くというのが、最も望ましい態度。ダンス=無我夢中の熱狂という常識は間違いであり、踊りはリズムと見事に合致すると、ホットな自分と冷静な自分がうまく同居する瞬間がやってくる。そこに、不思議なくらい自然と物語りが聞こえてくる。ヘタをすると、登場人物になりきって踊り、踊らされている。

藤田正「河内音頭はエレキ・ギターで夢を見る」(『日本一あぶない音楽 河内音頭の世界』)より

※独特のリズムとケーン(笛の一種)による主旋律、裏返って途切れそうなボーカルを特徴とし、その内容は生活の貧窮や政治批判などの社会・政治的な物から恋愛や人情などのものまで多岐に渡る。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0(Wikipediaより)

錦糸町河内音頭の印象もあってか情熱の中のクールネスということでボクはサルサを思い浮べたが、本場大阪常光寺の正調河内音頭を体験してきた河内フリークの鑑賞池くんは「あれはナイヤビンキだった」という。彼が参考に送ってくれた動画を見て、なるほどなあ、と思ったので紹介する。ナイヤビンキ聴きながら河内音頭も再生して音を重ねてみたら面白いと思う。

ナイヤビンキ


正調河内音頭


「白人に死を!」という実は物騒なラスタ音楽と祖霊の鎮魂のための盆踊りが似てくるというのはとても興味深い。まあ、両方とも祈りと呪いが同居するボン・ミュージックだ。一見、品良く見えるが、土煙や紫煙の向こう側には血生臭い世界がチラチラと垣間見える。その危なさがなんとも魅力的なのだ。

「都市に慣れながら、野生を深く持つのが、大阪びとの常である」という折口信夫の言葉に佐原一哉は河内音頭の本質を見たが、ナイヤビンキに参加しているトミー・マクックのグラサンを見てボクも同じことを考えた。

明日から錦糸町の河内音頭。政治と音楽と祭りを同時に考えることを教えてくれたのは先月亡くなった平岡正明さんだった(「革命とは連日連夜の宴会である!」)。靖国と盆踊りを繋げて考えること。そしていかに死者と共闘するか。それが問題だ。

二日間とも行く予定。冷静と情熱のあいだで遊びましょう。

河内音頭.jpg
■第28回すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り
http://www.geocities.jp/iyakorase/

[日時] 8月26日(水)/27日(木)
[時間]開場:17時~ 開演:17時30分~ (雨天決行)
[会場]竪川親水公園(首都高速7号線下)
[交通]JR線/東京メトロ半蔵門線 錦糸町駅南口下車徒歩4分
[参加]無料
[主催]錦糸町商店街振興組合/錦糸町河内音頭実行委員会


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  • By harpobucho / Aug 25, 2009 12:08 pm

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