残酷箱庭、ヤヴァン極まる
なるべく放任主義で狭いベランダにひとつの生態系を作る試み、ヤヴァン・ガーデニングからの報告。
サンショウにまた芋虫がついた。アゲハの幼虫だと思われるが、あえて芋虫と呼びたい。アゲハ蝶に見事変態を果たした後に、あれはアゲハ蝶の幼虫だったのだ、と回顧すべきもので、いまは得体のしれない芋虫でしかない。
ボクの前に姿を現したとき。数匹いたが全員養えないので一匹に間引く。一匹だけでも葉を丸ごと食べられてしまうリスクがある。この時期はまったく可愛げがないので躊躇なく排除できる。
一回目の変態が終わると、もう娘をもったパパのような気分になる。美しいドレスを纏い、パパのもとを旅立っていくまで大事に育てようと心に誓う。
翌日、事件は起きた。花嫁姿を夢見たのがまずかった。アゲハ蝶の幼虫ではないと言いつつも、心のどこかでアゲハ蝶になることを信じていた矢先。目の前にあるのは、串刺しにされた芋虫。鳥のご馳走である。昨晩の強風の仕業か。サンショウの逆襲のようにも思える。
数時間後、鳥に食われる前に解体屋さん登場。ボクが仕事をしなくても蟻たちが片付けてくれる。らくちんだ。ヤヴァンな生態系ができつつあることに、悲しい気分が吹き飛んで、愉快な気分になる。
翌日にはもう影形なし。あの芋虫はアゲハの幼虫ではなく、蟻の栄養源だった。このように回顧的にしか名指しできないから芋虫と呼ばざるをえないのである。
- HarpoBucho
- By harpobucho / Jul 18, 2009 5:33 pm