拾った覚醒剤の話

というタイトルは誤解を招くので、正確に書いておくと「拾ったお金で覚醒剤に関する本を買った」という話です。

金曜日は雨が降ってたので自転車通勤は止めて、東京メトロを利用することに。凄い勢いで改札口に吸い込まれていくビジネス・パーソンの流れに身を任せ、目的地まで死んだフリをしようと目線を下におろした瞬間に発見したのだ。五千円札! テンションあがり覚醒する。

くちゃくちゃに丸められ、まるで紙くずのようだったけど、お札特有のフェティッシュなオーラがキラり。落ちているお金に気づかないなんで、みんなちゃっとお金稼ぐことに夢中になり過ぎてるんじゃないの? と皮肉を言うより、この状況に素直に感謝しよう。すかさず拾い、その手はそのままズボンの左ポケットの中に。電車のなかでいったいこのお金をどう使ってやろうか考えていたもんだからいつもより楽しい出勤になった。

拾ったお金はあぶく銭なので、普段では絶対に買わないもので一気に使い尽くしたい。一昨年、下北沢で朝まで飲んで自転車でふらふら東高円寺に帰る途中の環七で千円札を拾ったときは、蚕糸の森公園のフリーマケットで怪しいエキゾな木彫りの女性の顔の置物を買ったのだった。売り手の親父は沖縄で作れてたものだと言い張るのだが、どうみてもそう見えない。バリっぽくもあり、ポリネシアっぽくもあり、アフリカっぽくもある不思議な女性の顔。絶対に嘘だと思ったから、親父のコレクションを手当たり次第産地問い合わせすると、全部沖縄だと言い張る始末。なんだかこの産地偽装親父に興味が沸き、来客へのクイズ用に千円で購入。そして、いまや扱いに困っている。今回もこんな有益な無駄遣いがしたい!

で結局落ちた五千円札で買ったのが『覚醒剤の社会史 ドラッグ・ディスコース・統治技術』。

2007年度の日本社会病理学会学術奨励賞受賞の扱いに困る五千円以上の書籍。気流舎で中古で買えたのでお釣りが発生したけどチャイ飲んで全部チャラに。やはり一気に遣い込むとなんだか気分がいい。

五千円程度の高級本を買おうと決断したときに真っ先に頭に浮かんだのがガブリエル・タルドの『模倣の法則』だったんだけど、そうすると単なる有益な買い物になってしまうので却下。そんときたまたまヤフーのニュースで芸能界の暗部を暴露しようとしていた元アイドルが覚醒剤の所持で逮捕されたという事件を知って、買うべき本が確定したってわけ。前からずっとチェックはしてたけど高価だし、今してる転職活動にまったく役に立たないから、絶対に買わないだろうと思っていた本が手元に。これは事件だ。

著者の佐藤哲彦さんの昔のブログ記事に『模倣の法則』のことが書いてあった。
http://akisato.tea-nifty.com/dope/2007/09/post_9d2f.html

昨年読んだこれも面白かった。
ドラッグの社会学―向精神物質をめぐる作法と社会秩序

普遍的な物事の本質よりも、正しい(と個人が信じているイデオロギー)事を主張するよりも、相互作用やディスコースの生態に興味があるんで、タルドとはもういっぺん出会い直さなければならないみたい。また落ちていないか、五千円札。下を向いて歩こう。

覚醒剤に対するボクの「ダメ。ゼッタイ。」な強い想いがビンビンに感じられるマッシュアップ動画。


この東映ヴァージョンのほかに「オーラの泉」ヴァージョンも作って公開したのだが消されてしまったようだ。芸能人たちがあのセットの雰囲気に油断して「小人」について嬉しそうに語っているシーンを繋げたもので、かなりイ(ジワ)ルだったんだけども。


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  • By harpobucho / Jan 25, 2009 2:05 am

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