わが家の特権的俳優
緒形拳は我が家では特権的な俳優だった。ただ単に母親が彼のファンだったというだけの話かもしれないが、緒形拳がドラマに出てくるとお茶の間の空気が変わった。緒形拳の演技に反応する母の姿にボクら男性陣も反応した。反応は増幅され、家族のテンションが微妙にあがるのを感じた。
緒形拳の死は微妙どころか、かなりショックだった。
『復讐するは我にあり』や『楢山節考』などの今村作品もやばいが、勝プロ作品の緒形拳には敵わないだろう。テレビ版「新・座頭市」12話「金が身を食う地獄坂」の緒形拳は衝撃的だ。はたして母は当時、この緒形を観ていたのだろうか。その反応が見られなかったのが残念でならない。ちなみにこの異形のドラマが放送されたのはボクが生まれた日の9日後である。まったくどうでもいい情報だが。
今度、実家に帰ったら、ハーポ・プロダクションがDVD化した(最近、ハーポプロは貴重映像の文化保存事業を展開している)海賊版『Mishima: A Life In Four Chapters』を母にプレゼントしよう。三島側の家族の反対により日本未公開の洋モノをわが家族には見せたい。
タクシー・ドライバーの脚本で有名なポール・シュレイダー作品をはじめ海外からのオファーが多くなってきた緒形に、勝新は「道草しちゃだめだよ」と忠告したらしいが、そのころ勝新は道草ばかりふかしていたような・・・。
道に外れて 咲いている
浮世の花は まわり花
勝 新太郎
- HarpoBucho
- By harpobucho / Oct 08, 2008 2:26 am