カオティックな日々々

午前中に書いた前日記「カオティックな日々」を読み返してみたら、全然カオス感がないな。ボクの中では物凄くカオスだったのだが、文章にまとめるという時点ですでにカオスは消滅してしまう。カオスはその体験の最中にしかない。カオスはそのつど滅びてしまうのか。

月曜日 有給休暇取得。

カオスの教科書、ハキム・ベイの『TAZ』Tシャツを以前プレゼントしたニューヨークの独立出版社Autonomediaのジム・フレミングのパネルを覗きに中央大学駿河台記念館へ。「自律メディアは増殖する!」というお題で日本人のパネラーが三人並んでいる。Irregular Rhythm Asylumの成田圭祐さん、気流舎の加藤賢一さん、 トランジスター・プレスの佐藤由美子さん。司会は酒井隆史さん。みんな知った顔だ。特に気流舎はハーポ・プロダクションでレギュラーイベント(今月はG8のためお休みです)を持っているくらい馴染み深い場/メディアである。 加藤さんや成田さんみたいな同世代の仲間がこういう場所に出ていることが誇らしい。

ジムとパネラーの対話が時間オーバーな感じで残念だったが、もう次のパネラーである高祖軍団が続々教室に入ってくる。「戦術家」を名乗るアクティヴィスト、リサ・フィシアン、「ザ・パペット・ガイ」として有名な、人形劇を通じて主張を行うアーチスト、デヴィッド・ソルニット、アルゼンチンの”Horizontalidad” (horizontalism) 運動を調査しているマリーナ・シトリン、他にもグラフィティをやってる若者や、学園闘争を組織したレヴォっ娘(キュート!)が集結して「戦術の多様性をめぐって」というパネルに流れ込む。とてもタメになり、楽しい時間だったのだが、ボクにはやらねばならない大事の仕事が待っていた。後ろ髪を引かれる思いで教室を去る。

negriTee.jpg

そのミッションとは、「プレカリティは創造する」というパネルの出演者の一人、マウリツィオ・ラッツァラートにネグリ来日記念Tシャツを渡すことであった。「盗みの品格」を重んじるRLLは、勝手にネット上で拾った写真をTシャツの根多にしてしまったことを詫び、同時に感謝したいわけだ。これをしてはじめてTシャツが完成するというものだ。マイケル・ハートは喜んでくれた。はたしてラッツァラートの反応は?

lazzarato.jpg

パネルが終わると同時にラッツァラートに即アプローチ。喜んでもらえる自信はあった。1週間ほど前に京都のラジオ・カフェ という場で、彼を囲んで酒を飲みながら交流する贅沢なイベントがあり、そこにネグリ来日Tシャツを着て参加した方から報告があった。ラッツァラートはそのTシャツに非常に驚き、「このTシャツはどこで手に入るのか!?」と尋ねてきたという。世界的なベストセラー『<帝国>』の著者がTシャツになっているのは、まあ想定内だが、まさか自分の顔がそのTシャツに刻まれているとは思ってもいなかったのであろう。なんでも商品化されてしまう。まったくもって資本主義は恐ろしい。ラッツァラートはそう思ったかもしれない。

グルーチョ・マルクスのような大袈裟な身振りで驚いてくれると思い込んでいたボクは、実際の彼のリアクションに拍子抜けした。ボクの手からTシャツを受け取ると、それを急いでカバンにしまおうとしたのだ! え~グレーバーのようにその場で着てくれないの~。ノリ悪いネ~。

彼は言った。「ドゥルーズやガタリと自分は同じレベルにいないから、なんだか恥ずかしいんだ。でも、ありがとう。」

イタリア人の謙遜。ガブリエル・タルドの研究者でもあるラッツァラートは、本当にD&Gを尊敬しているのだろう。握手をしてミッション完了。

翌日、明治大学のパネルで見かけたスキンヘッドに後ろ髪ドレッドの落ち武者スタイルなアクティヴィストが、ラッツァラートにあげたはずのXLサイズの「ネグリと愉快な仲間たち」を着ているのを目撃。ちょっと悲しい気持ちになる。

カオスはまだまだ続く!


  • HarpoBucho
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  • By harpobucho / Jul 03, 2008 11:36 pm

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