探してばかりの日々
一日のほとんどを何かを探すために費やしている。テレビやDVDデッキのリモコンを探している瞬間、特にそう思う。しかも、同時に複数の何かを探しているので、探している本来のものが見つからず、まったく別の意外な何かを発見してしまうこともある。二兎追うものは一兎も得ずって言うけれど、今ボクが追っているのは二兎どころじゃなくて、確実に七兎はいる。
引越し先が今日、正式に決まった。必死に追っかけて捕まえた最高の兎ちゃん。住んでみないとわからないけど、そう信じたい。場所は杉並区の松ノ木で、近所は和田堀公園一帯。このあたりは緑が多くて気持ちいい。いくつもの公園が群島のように存在していて、ベンヤミンごっこ(散歩)や野外移動読書には最適な空間だ。部屋は日当たりが最高によく、角部屋なので窓が多く、その窓枠で切り取られた景色もなかなか味わい深い。もちろん和室だ。ベランダもささやかながらあるので、ボタニカル・ライフも満喫できる。
探し物はなかなか見つからないものだが、探している過程のワクワク感が維持できれば、まあいいか、という気がする。特に引越し先を探すという行為は、輝かしい未来を想像するユートピア遊びだったので、楽しみがひとつ減ってしまった寂しさもある。
探すのをやめてみると、突如、自分の前に現れるものもある。『喜劇 とんかつ一代』。ずっと観たかった映画。しかも森繁が歌う「とんかつの唄」が爆音で聴けるとは!
必死に追いかけるよりも、巧妙な罠を仕掛けておいて、優雅に寝て待つ。そんな暮らしがしたい。
- HarpoBucho
- By harpobucho / May 17, 2008 1:17 am