タビー的
携帯電話を持ってない、いわんやmixiをや、なゲットースタイルの友人が、「銀座でキング・タビー級の絵画展やってるんだよ!」と興奮気味に言うので、高円寺ゲットーでお茶をして十分にリラックスした後、銀座バビロンに向かった。
かっとばされた。確かにそこには、キング・タビー級のブっとび絵画が並んでた。仕掛けているのが資生堂(「資本主義を生きる!」と書く)ってゆーバビロンな企業ってとこも気に入った。ここの文化事業部はバビロン内部からバビロンを利用しつつ、スーダラな革命を我々に仕掛けている、と感じた。無料ってのもいい。
「Passion and Action-生の芸術 アール・ブリュット」展
アール・ブリュット(Art Brut:フランス語で「生の芸術」の意)は正規の美術教育を受けていない人々が、精神的な衝動に従って創作した絵画やオブジェなどの、様々な美的所産物を指す。作品の多くは、精神病患者や幻視者などにより制作されたものだ。
街の電気技師、オズボーン・ラドックが精神的な衝動(ハーブの力も手伝って)に従って創作したダブという手法が、ジャマイカの音楽シーンを一変させただけでなく、結果的に世界中のクラブシーンに革命をもたらした。彼はキングを名乗り、王冠を被りながら、無数の音源を世に送り出した。
ダブこそが音楽におけるアール・ブリュットだ。正規の音楽教育を受けていない者のヒラメキが世界の音楽をキラメかせた。キング・タビーは、リー・ペリーなんかより実は断然、キチガイだと思う。ダブを深く聴けば聴くほどそう思う。あれが街の電気屋が作った音楽だぜ!信じられん。狂ってる。
ジミ・ヘンドリックス、キング・タビー、ラリー・レヴァン、この3人がボクの中での20世紀ポピュラー音楽の最重要人物なんだけど、キング・タビーだけ記録が少なすぎる!ジミヘンの映像はいっぱい残ってるし、最近レア映像入りのDVDが発売されたばっか。ラリーには『マエストロ』とゆー関係者のインタビューばっかの退屈なドキュメンタリー映画がある。なぜ、タビーだけ映像がないのか?ボクは動くタビーを観たことないし、インタビューも読んだことない。英国の国営放送は何をやってたのか?ボブ・マーリーよりもキング・タビーをしっかりおさえとけよ。当時、タビーの重要性を認識できる人間がいなかったのだろうか?
『トラック野郎』シリーズでお馴染みの東映を代表する映画監督に鈴木則文がいる。彼の作品に『徳川セックス禁止令 色情大名』とゆー最高傑作があるのだが、これもキング・タビー級にヤバい。
この作品はアレハンドロ・ホドロフスキーの諸作品と比較されるべきだと個人的に思っているが、ホドロフスキーはハプニング、前衛演劇あがりの生粋のアーチストであるのに比べ、鈴木則文は、プログラムピクチャーの職人監督である。しかし!鈴木の『徳川セックス禁止令 色情大名』の方が『エル・トポ』よりも『ホーリー・マウンテン』よりも『サンタ・サングレ』よりも断然アートしてるんだよお。エロと笑いが画面全体を支配していて、最高に楽しいわけだが、実は政治的にもすごくラジカルなんだ。セックス禁止とゆー荒唐無稽な設定を現代の管理社会に当てはめてみると面白い。公権力の介入が市民生活のレベルまで降りてくるのは危険だ、というメッセージを声高に唱えることなく、最高にバカバカしく描いている。この路線でボクも行きたいなあ。エロ+笑い+反権力。
キング・タビーの音楽の快楽性/政治性ってのにちょっと似ていると思う。
- HarpoBucho
- By harpobucho / Dec 01, 2005 2:38 pm