tribe
ストリートからの日常生活批判の実験。『アーバン・トライバル・スタディーズ』(月曜社)から「トライブ」概念を抽出。
社会学者/批評家の上野俊哉は著書で「都市の部族(Urban Tribes)」という概念を提起している。
このことがもっともはっきりするのは、ポップカルチャーやロックの周辺である〔中略〕さまざまなメタリックなアクセサリーを着たヘヴィメタル、T シャツに安全ピンのパンク、ドレッドヘアーに、独特の三色の色使いで飾ったラスタ(レゲエ)、ツートーンでキメたかつてのスカ、プレスリーやハーレーに憧れるロックンロール、DCやカラス服で飾ったニューウェイブ… …といった具合に、それぞれのポップジャンルはそれに固有のスタイルやスーツの“かたち”、“定式”をもっている。〔中略〕特定のスタイルは、つねに一定の生活習慣や考え方、信条、生き方、身ぶりにもしっかりと結ばれている。つまり、ポップ/ロックとスタイルのつながりは現代社会において〔中略〕逆説的にある種の「部族」を成立させている。(『シチュアシオン-ポップの政治学』)
もう一つ引用。
ある種の若者文化、サブカルチャー、都市の文化のなかに様々なかたちで存在する趣味やスタイル、身ぶりはそれぞれの小さな集団性、共同性を形成し、互いに影響しあったり、また文化的に、時には物理的に争ったりしている。このような感覚の共同性と、場合によってはある種の敵対関係(antagonism)によって成り立つ集団を、ちょうどアルカイックな社会において儀礼や信仰を共有する集団のカテゴリーになぞらえて、「部族」という言葉で呼ぼうということである。(『アーバン・トライバル・スタディーズ』)
やんちゃな都市のトライブと、オールドスクールなトライブが向かい合ってメンチを切る。お互いのスタイルをじっくり観察し合う。お互いに共通の要素と魅力的な異質な要素を見いだすと、そこからトライブ間の豊かな異文化交流が始まる。面白いことの多くは、異質なものの交じり合いとぶつかり合いの中で生まれてくるものだ。
まずはこのTシャツを着用し、コンクリート・ジャングルへ繰り出そう。そして、いろいろなジャンルのトライブと接触し、交流しよう。きっと何かが生まれるに違いない。それは、緊張感のある軋轢か、喜びに満ちた創造か。
ボディの色は白。都会の埃と煙と排気ガスで変色するまで着倒そう。