Action Archive

福岡のSHE SAYS distro と つくばのPEOPLE

8月ですが皆さんTシャツ着てますか?

SHESAYdistro
福岡の反転地とかいろんなところに出店している「SHE SAYS distro」さんにTシャツを卸しました。

RLL36 PUNKY REGGAE PARTY
RLL71 戰爭放棄
RLL11 fascism≒Globalism
RLL03 ダダカン(DADAKAN)

art space tetraとともに福岡文化を牽引する反転地さん、なんと残念な事にインフォショップ〈昼の部〉は今の場所は今月限り! 移転ということでちょっとだけホッとしているところですが、行ってみたかった。中心地天神3年ってすごい! SHE SAYS distroさんは各地出店もあるみたいなので、Tシャツもzineと一緒にみてみてください。
hantenchi


people_book_logo_1
一方こちらは、新しいお店。つくば市のPEOPLEさんにもTシャツを卸しました↓
真夏のTシャツ祭り!
PEOPLEのこと、いろいろ
PEOPLEさんは今年4月にオープンしたBOOKSTORE&OFFICE。場所は茨城県つくば市天久保3丁目21-3
8月4日から18日までの2週間「真夏のTシャツ祭り」が開催されるので、こちらのTシャツを納品しました。セレクトブックやこだわり古書が並んでて居心地よさそうなお店のようで、これはつくばエクスプレスに乗って訪れてみたいね。とにかく近所の人は行くしか無い!

●RLL26 DROPOUTS
●RLL36 PUNKY REGGAE PARTY
●RLL37 Kerouac “on the road”
●RLL40 Patti Smith & Susan Sontag
●RLL44 MARIJUANA MARCH 2009
●RLL46 Tangier(ミントグリーン)
●RLL71 戰爭放棄

t-fes



カルタイ2013

毎年恒例の文化研究の祭典カルチュラル・タイフーン、今年は今週末7/13,14に東京経済大学で開催します。RLLは毎年出店しておりますが、今年はなんとポスター・パンフレット・フライヤーも僕がデザインしちまいました。みなさん東経大でお会いしましょう。

☆キラ☆キラ☆キラ☆キラ☆キラ☆キラ☆キラ☆キラ☆キラ☆キラ☆キラ☆キラ☆
cultyp
公式ホームページで諸情報をゲットしてください。
http://cultural-typhoon.com/2013/

そこで独断のお勧めを幾つかご紹介!
NEXT WAVE CULTURE――ポスト資本主義下の実践カルチュラル・スタディーズ
「卒業しない」非ユース世代によるユースカルチャーの継続! 大人になれませ〜ん、みたいな僕らに捧げられた企画かもよ!?



文化と政治――音楽が鳴り止むとき
「ミラーボールが止まる時ー風営法とクラブの問題について考える」磯部涼(音楽ライター)これ観たいよね!



邂逅と衝突の場としての沖縄――国境とフェンスの越え方
NDSの監督でもある中村葉子さんと「大飯原発ゲート占拠・封鎖を経験して」で知られる大野光明さんの沖縄トーク!


闘う百姓、革新自治、反基地闘争:「叛乱」地域としての多摩
開催地多摩の歴史をDigした故佐藤文明の『未完の多摩共和国』から甲州一揆/闘う百姓新撰組/革新市政/砂川闘争を掘る!


抗いの手前で――「アジア」への/からの脱出
マニュエル・ヤン氏「『世界文学』としての目取真俊——後期資本主義の文学的地平」は面白そうですよ.


「住めば都」!?――横浜・黄金町のジェントリフィケーションとヒップホップ
ヒッポホップもジェントリフィケーションも興味あるし!


スタジオ・クーカの”芸術=労働”:「もう一つの世界」をつくる一つの実践
ともだち後藤さんのパネルは英語なんでよーわからんが楽しみだ。


エメ・セゼールとの対話 植民地主義・アフリカ・シュルレアリスム
出版が待たれる『カリブ‐世界論』(人文書院)やグリッサン翻訳で知られる中村隆之さんの話は、興味ありまくる。


「ラジオアリーチェ」の文化台風への帰還:映画『ラジオアリーチェ』の日本初上映と自由ラジオをめぐるディスカッション
今回のカルタイの(個人的)目玉! 日本海賊放送とFree Media Research Lab (FMRL)がお送りするラジオアリーチェ、詳しくはこちら



RLL on the BASE

RLLのTシャツ販売サイトとしてBASEにページを開きました。
http://www.rll.jpの本サイトは商売っ気なしだったので、下部構造切り離し大作戦!!というわけです。どうぞご笑覧下さい!
お気に入りのTシャツのサイズがございましたら是非ともポチッとよろしくお願いします。
http://rll.thebase.in/

まぶしい新緑の影が、旗めくコットンのマテリアルに差し込み、シルクプリントとの光彩のアレンジメントが眩いヴィジュアルになって目蓋に記憶され……そんな妄想にとりつかれて春の陽気のなかで公園でぶちょうさんとTシャツのフォトセッションを楽しんできました。でさー風でTシャツがバタバタしちゃってマヂたいへんだったんだから!

あーこれでラグでも敷いて、シャンパン開けてバスケットからバゲットと林檎を取り出してCool Resistanceごっこ(その昔の別冊宝島に載ってた『Bar-f-Out!』vol.0のミーティング)出来るのに……そうだそうだ、今度RLLピクニックやりましょう! ∞のお茶のお手前とお菓子の振舞い、HarpoBuchoのラジカセと面白い本を持ってきてReading Leaf Lounge、intellipunkは……ひたすらTシャツを叩き売りしますね。美味しいシャンパンを買って、ぜひぜひ梅雨になる前に開きましょう。

RLLontheBASE01
↑RLLマークとWearable Ideas]の下に[Reading Leaf Lounge]って新しい名前が。
まだ本サイトバナーは[riot love letter]ですが、じきにリーディング・リーフ・ラウンジに改装致します。キャッチコピーは「皆様の読書の悦びと愉しみを演出する」という感じで、言の葉を読むことについての何かをご提供の妄想中。


OneDayStore
そうそう、最新のスペクテイター(27号)「特集 小商い」に「〈ワンデーストア〉ができるまで」と題して珍しいサブカル系の古本とアンティークの品物などを販売した体験記を∞が寄稿しております。イラストの∞が可愛いけど、IRAのナリタさんは似ていないよー。この企画、リーディング・リーフ・ラウンジを先にやられちゃったなー。でもよく考えると赤田さんとRLLが6年前にライフスタイル雑誌を構想して頓挫したという伏線が今回のこの企画にはあるんじゃないかな。他にも〈VEGIしょくどう〉〈AM-A-LAB〉〈古書赤いドリル〉と僕らに所縁のある人たちの記事がいっぱい! そしていつものコラムコーナーにはハーポプロダクションの戯作連載中、アジールの味ってなんだ!?


RLLontheBASE02
ちなみに「RLLもぜったい通販サイトをやったらいいよ!」と背中押してくれたのは山下陽光くん。陽光くんのベイスサイト「途中でやめるショップ」はモデルのランちゃんが毎回いいよなー。コメントもわらかすー



ネグリ歓待

ネグリ祝来日のサイト作りました。
negri_banner http://www.wismc.org/symposium/

さてアントニオ・ネグリに外務省通からビザがおり、ネグリさんも来日をOKしたそうで、関係者の積年の念いも通じそうです!
国際文化会館さんえらい! 力を出した先生たちどうもありがとうございました! まさにファン冥利に尽きます!

2008年のネグリ来日出来なかった顛末は、RLL38 Antonio Negri Tシャツライナーノーツにちょっとだけ書かれているけど、(オフィシャルなのは コレ)あのときは、ほんとTシャツが売れず在庫を持て余し災難だったんです。人の商売じゃましやがって法務省! 外務省! 忘れねぇからな。

デザインしたTシャツも‪Wailers‬「Burnin’」見立てのネグリだなんて、‪誰得の食い合わせ。‬しかし名盤バーニンはGet Up, Stand Up、Hallelujah Time、Burnin’ and Lootin’、Small Axe”とネグリの思想と共鳴しそうな名曲揃い。案外ネグリも(ギルロイに気をつかいながら)ウェラーズを好きなこと隠してないんかな、と強引にデザイン。レゲエ→反帝国主義・反レイシズム→左翼というコースに沿って考えれば、多くの思想圏がネグリとギルロイの間に広がっていることは間違いのないことなのだ。


僕は99年『構成的権力』(松籟社)ではじめてネグリという思想家を知り、クールなジャケに騙されて間違って読んじゃったりしてなぜか大感動したりして。その後『〈帝国〉』(以文社)が大ブレイクして2001~3年あたりで、世間もちょっとしたネグリブームにもなったもんだ。出版前の杉村昌昭さん酒井隆史さんらが解説した帝国・マルチチュードとは勉強会に行ったり、個人的にも世間的にも、なんだかあの10年前は911と相まってポストモダン政治思想のルネサンス感があったと記憶している。08年にはネグリの替わりに反G8サミットでハートが来たりしたし、ずっと無視出来ない存在としてあった。ざっくりでいいから見取り図を引けて使える、反グローバルムーブメントから、アラブの春やオキュパイまでも射程に入れて併走出来る政治思想は、結局ネグリしか居なかった。イラク反戦から10年、ハートとの共著は毀誉褒貶ありながら現場で一番読まれ、マルチチュードやコモンズという言葉が希望として愛されたのじゃないだろうか。『芸術とマルチチュード』(月曜社)ではPUNKとzineについて、『未来派左翼』(NHK出版)では現代中国のことも語っていて、ほんとアクチュアルな評論も多い。社会学からではない、現代の国家と資本主義への哲学現代思想からの射程の広い分析としては随一ではないだろうか。オピニオンとしてこの先の世界を照らす彼の言説は狭いアカデミシャンの世界よりずっと広く求められている。自分史的には2011年には911原発やめろデモでとっ捕まり、差し入れされた『野生のアノマリー』(作品社)を独房で読めたことで、大きな希望を得たこともあった。自由を奪われた状況で永遠を信じる、スピノザ→ネグリ→僕への贈り物を拘束の中で受け取ったのが物語として大きい。ネグリを通してスピノザの恩寵を与えられたのだった。ネグリが獄中で書いた本が、不自由な身を解き放つ哲学でないわけがない!


だから5年前のあの彼が不自由なときのメッセージにはこうあった。

大きな失望をもって私たちは訪日を断念します。
数カ月にわたり訪日を準備してくださったすべての皆さん(木幡教授、市田教授、園田氏——彼は日々の貴重な助力者でした——、翻訳者の方々、諸大学の関係者の方々、そして学生の皆さん)に対し、私たちは申し上げたい。あなたたちの友情に、遠くからですが、ずっと感謝してきました。私たちはこの友情がこれからも大きくなり続けることを強く願っています。皆さんの仕事がどれほど大変だったかよく分かります。皆さんに対しては、ただ賛辞があるばかりです。
パーティは延期されただけで、まもなく皆さんの元へ伺う機会があるだろう、と信じたい気持ちです。
友情の念と残念な思いを込めて……
ジュディット・ルヴェル
アントニオ・ネグリ


最後の「パーティ~」のくだりが未来を予見していたかのように、ネグリがやってきます!

やった!

そう、スピノチストの永遠を信じる心には諦めがないのです!



でも現実は厳しい。今回だって、政治の火種を未だ燻らせている不屈の老哲学者が、かつて三里塚闘争で知られたところから飛行機で降りて来て放射能降りそそいだ帝都東京へ来るまでは、安心出来ないのかもしれない。革命的警戒心という用語も廃れた2013年に、この哲学者を歓待する難しさについては、どのくらいリアリティがあるんか分からないけれど。例えるならコスタ・ガブラスの映画を地でいっている人、カルロスより劇的な哲学者。「BRUTUS TRIP」で有太マンが”秘境”としてか(?)会いに行った人(http://www.madfoot.jp/blog/yutaman/2008/09/post_126.html)。秘仏御開帳なみのレアさです!



neguri_web_top
そんなんで、今回、極秘にネグリ来日シンポジウムのWEBページをartNOMADさんと一緒に作らせて頂きました。「ネグリでんぐり」という前回のWEBを作ったartNOMAD氏と恊働ができて〈コモン〉な嬉しさもあります。リベンジです!
見た目はネグリを桜の季節にお迎えしようという身も蓋もないデザインですが。背景のネグリ本はintellipunk蔵書、いつも棚を飾っている背を積み重ねてみました。今までは[本の中の人]だったのに逢いに行ける!というワクワクを込めて、アノニマスだけど類がない感じになったかな。


シンポジウムは2回あって、国際文化会館主催「アントニオ・ネグリ×姜尚中」と、僕がウェブデザインを依頼された日本学術会議主催の「マルチチュードと権力 : 3.11以降の世界」と題された方。こちらは迎える役者は市田良彦さん上野千鶴子さん毛利喜孝さんと硬軟合わせたベストな布陣に立役者コーディネイターは伊藤守さん。凄く楽しみ、というか待たされたぶんの想いがつまっているシンポジウムです。

コモンウェルスも読みましょう。
朝日http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013022400012.html
読売http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20130128-OYT8T00930.htm
日経http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51573460Z00C13A2MZC001/

最新刊『叛逆―マルチチュードの民主主義宣言』(NHKブックス)も23日に出ます!

これを記念にRLLは、RLL38 Antonio Negri Tシャツのピンクボディバージョンを2013年版リミックスとしてリリースします!
この濃桜色の感じがネグリの思想と相性いいね。パキッと陽性な感じが彼の魅力でもありますし、ピンクの「Burnin’」で春を向かえよう!


NegriPink



世界のコレクティブ事情知りたし。

kokuci

http://irregularrhythmasylum.blogspot.jp/2013/03/315-ira.html
ジョグジャカルタのアート・グループ「タリン・パディ
スラバヤのインディペンデント・ライブラリー「c2oライブラリー



RLL 2012′S BEST BOOKS

毎年恒例、RLLのBEST BOOKS。遅くなりました。∞の原稿ストライキで(骨董ブログには1月中には6本も記事を上げてるのに)発表出来ない状況にありました、深くお詫び申し上げます。

2012best


RLL 2012′S BEST BOOKS

1 『三つの旗のもとに―アナーキズムと反植民地主義的想像力』ベネディクト・アンダーソン(NTT出版)
19世紀後半のスペイン帝国統治下のフィリピンとキューバとアナキズムの三つの旗に集った人々の知られざる交歓の事実を、今までナショナリズムを記してきた『想像の共同体』のベネディクト・アンダーソンが熱く厚く書き記した! そこから見えるのは19世紀末の反植民地闘争反帝国主義のナショナリズムは、実はインターナショナリズムを内包して、当時の最初のグローバリズム状況下に活性化したアナキズムと呼応連結して躍動していたって事実。ダイナマイト発明とアナキスト爆弾闘争の系譜もつまびらかにされ、その流行の中で植民地帝国主義は徐々に崩壊していくさまも詳細に、サラエヴォ事件や安重根まで記述される。そのまま現在の反グローバリズムとエコロジーとグリッサンがつなげて説明されていた高祖岩三郎『新しいアナキズムの系譜学』の記述に重ねて考えられるだろう。双方ともアナキスト地理学者エリゼ・ルクリュも関係しているし、これは間違いなく歴史の二週目に観えてくるよ(?)パリコミューンと植民地とランボー、アナキスト活動家とヴァレリーやマラルメやシニャックやスーラの交流、反植民地主義とビスマルク帝国主義などなどのトピックもパッチワークされて世界を可能性で想像してしまう。たったひとつ残念なのは素敵な原著のジャケットを台無しにしている、保守的なNTT出版のカバーデザイン。これのオリジナル装幀を勝手に作ってしまいたいぜ。


2 『脱資本主義宣言 グローバル経済が蝕む暮らし』鶴見済(新潮社)
 最も深く迷い続けた者だけが最も遠い場所に辿り着く。1993年に発売された「完全自殺マニュアル」からすでに20年。この20年間に鶴見済が記してきた本の一冊一冊のタイトルを思い出し、もう一度、振り返ってみよう。それは、この人が歩いてきた長い長い道のりを振り返るということだ。完全自殺マニュアル(93)ぼくたちの完全自殺マニュアル(94年)、無気力製造工場(94)、人格改造マニュアル(96)、檻の中のダンス(98)、レイヴ力(00)、そして、脱資本主義宣言(12)。一見バラバラなように見えるテーマが並ぶが、常に通底しているのは、巨大な生の不安への怯えと苦しみである。自分自身で悩み、苦しみ、ただなんとかそれを解消しようとして必死に取り組んできた軌跡の一つ一つの区切りとして、一里塚として、これらの本は輝いて後方に並び、連綿と光っている。この人の本は、決して単なる即物的なマニュアルでも、社会学的な批評やエッセイでもない。この著者がひたすら地道に綴ってきた、私小説だ。闘いの歴史だ。鶴見済の本は美しい。圧倒的な力強さを孕んで僕らの心を鷲掴みにする。ここには彼の弱さも、醜さも、彼が感じてきた喜びも、悲しみも、全て描かれている。だからこそ力強く、美しいのだ。おそらく、初期のマニュアル的な本を愛するファンの人々は今回の「脱資本主義宣言」を単なる著者の左傾化として捉え、がっかりしているのではないだろうか? しかし、僕がこの本を読んで思うのは明らかな原点回帰である。確か完全自殺マニュアルの巻頭言には90年代的な現象として「歴史の終焉」と「退屈な日常」がセットで語られていたはずだ。この厭世主義の果ての、気楽な選択肢としての自殺のマニュアル化。これがこの本のテーマだった。それに対して今回の「脱資本主義宣言」において徹底して追及されるのは、退屈な日常の解剖と、その歴史である。震災や右傾化による歴史の回帰を経た現在でも、資本制の中での日常は続いている。そう、資本主義のファンタスマゴリアとしての日常。それがなぜこんなにも清潔なようで醜く、気楽なようで深刻な不安を常に生み出すのか? なぜこれほどまでに普通の日常の生が、呪われているのか? この本を読めばそれが嫌と言うほどわかるだろう。この本は退屈で普通な、自殺したくなるほどくだらない日常の背景に何が潜んでいるのかを暴き出す。鶴見済はまったく変わってなどいない。徹底的に容赦なく、冷徹に、不安の根源を分析し、問い詰めている。この人がこの先どうなっていくのか、僕にはわからない。だからこそ目を離すことができないのだ。


3 『リアリティのダンス』アレハンドロ・ホドロフスキー(文遊社)
大ファンである映画監督の自伝と聞いて、わくわくしながら読み始めたら、まったくといっていいほど映画の話がでてこないじゃないか! 彼にとって映画は単に表現の一手段に過ぎず、本質的に彼の職業は「セラピスト(テラピスト)」だったという衝撃的事実にさらにわくわく。「芸術は癒しのためにある」ってあんな映画撮っておきながらよく言うよ! 同じくノマドを生きるビフォの哲学と接続して読むと面白いかも。 少年時代のトラウマ体験、セラピーとしての演劇、明晰夢の訓練、魔術修行、呪術医や禅僧からの学び、うさんくさいグルのもとでのアシッド体験(驚くべきことにその初体験は『エル・トポ』撮影の後)……バンド・デシネ(bande dessinée)の脚本家としても知られるホドロフスキーの巧みな ストーリーテリングに乗せられ、エピソード酔い確実(ブルトン、カスタネダなどの知識人との笑える邂逅が読みどころ)。後半は彼のオリジナル療法「サイコ・テラピー」の奇抜な処方例が延々と続き目眩がしてくるが、これが「現実のダンス」なのか。ホドロフスキーは同タイトルの映画をすでに完成させており、公開が非常に楽しみ。


4 『CRASS』ジョージ・バーガー(河出書房新社)
CRASSという過剰な意味と言葉が張り付いたこのパンクバンドは、やたらかっこいいジャケットを身に纏ったレコードは手に入るけれども(そして例の日本の家紋に影響を受けたCRASSマークをあしらった黒いTシャツは手に入るのだけれど)、大手音楽メディアを信用せずファンジンのみに門戸を開いたため、当時から日本の音楽誌では詳細な情報は伝えられず、長らく彼らの過剰な意味性を解する者は少なかったはず(例外は遊動社の『クラスストーリー…IN WHICH CRASS VOLUNTARILY BLOW THEIR OWN』!)。待望と云ってもいいはず、この本でようやくその漆黒のヴェールが剥がされるというわけだ。中産階級/労働者階級、ヒッピー/パンクス、メジャー/インディー、音楽活動/政治活動、女性/男性、スキンズ/アナキストという幾つかの対立項を乗り越えたところを目指していた彼らの活動の誠実さにまず敬意を表したくなる。ネオコンネオリベの元祖鉄の女サッチャーと激烈に闘い疲弊した描写はつらいが、これが現在形の闘いだということもこの本を読むことの意味でもあるだろう。野田さんの熱い解説でわかったように、ストーンヘンジ・フェスティバルからうまれピストルズを経由してレイヴカルチャーまで通低する彼らの理想主義の精神は、闇に包まれた過剰な言葉の意味を知らなくとも、アンダーグラウンドのエチカとして僕らには何故か届いていたのだった。



5 『ジャスト・キッズ』パティ・スミス(アップリンク/河出書房新社)
パティ・スミスの青春自叙伝はなんと、2010年度全米図書賞ノンフィクション部門受賞ってことで、これはもう最初から鉄板本! ニューヨークに上京したての何者でもなかったころの初々しいパティが、フォトグラファー未満のセクシーな美青年ロバート・メイプルソープと出会い、愛し合い、高め合い、拗れ別れ、デビューし、彼が死ぬまでの、あの伝説的な物語が本人から語られる。舞台は黄金の70年代ニューヨークなので、ふたりを彩るのはギンスバーグやバロウズやウォーホルやサム・シェパードら、チェルシーホテルの神話的アーティスト達。随所に挿入されるミューズパティを撮ったロバートのスチールにどきどきしたり、「マリファナはふざけるために吸うのではなく詩を書くために吸うものだ」パティ・スミスってエピソードにグッときたり。RLLも、かの有名なメイプルソープ撮影の「ホーセズ」ジャケットをTシャツ化しているので、この本と一方的に関係しているよね!?


6 『フォークナー、ミシシッピ』エドゥアール・グリッサン(INSCRIPT)
人文読みの皆さんにとっての2012年は、比較文学ならポール・ド・マンの一択だろうというメジャーな意見をよそに、RLLは黒人趣味のあいかわらずな選択でグリッサン一択にさせていただきます。これはグリッサン唯一の作家論であり、プランテーションとクレオール文化、奴隷制と黒人の苦しみといった、アンティーユ諸島とルイジアナの比較文学ともいえる。しかしながら彼は何を書いても、全体-世界論である〈関係〉の詩学であり、既成の評論でも詩でも小説でも哲学でもあるジャンルレスの「試論」なのだ。だから、いくらウィリアム・フォークナーの核心に迫っても研究書や文学論の枠などなく、ほどなくいつものグリッサンの詩学であるとわかりこちらも身も心も委ねてしまう。黒人奴隷の子孫の詩聖は、没落してゆく南部の愛国者で人種差別主義者の大酒飲みを、文学によって礼賛する。訳した中村隆之せんせいの「カリブ‐世界論」も必読!!!!



7 『〈借金人間〉製造工場  “負債”の政治経済学』 マウリツィオ・ラッツァラート(作品社)
新自由主義という政治的経済的欺瞞を弾劾する作品社の勢いが止まらない!『資本の〈謎〉 世界金融恐慌と21世紀資本主義』デヴィッド・ハーヴェイ、『なぜ、1%が金持ちで、99%が貧乏になるのか?《グローバル金融》批判入門』 ピーター・ストーカー、『なぜ私たちは、喜んで“資本主義の奴隷”になるのか? 新自由主義社会における欲望と隷属』フレデリック・ロルドン。この社会科学の流れの中で、最もフランス現代思想に近しいこの本をセレクト。借金人間〈ホモデビトル〉ってのも負債もニーチェやドゥルーズで、金融危機後の世界経済を考えるって倒錯ぽっくて僕ら的。



8 『日本巫女史』中山太郎(国書刊行会)
初版1930年、柳田國男の弟子である在野の研究者が書いた異形の本がこの時代に復活。やたら分厚く存在感のある佇まい(そしてカバーを取るとシブいサイケ調!)。冒頭小言における死んだ妹への想い「私の学問のために死んでくれた妹のために本書を完成し、そして霊前へ手向きてやろう」が本と同じくやたらに重く、なかなか頁が進んでいないことを白状してしまおう。自らの民俗学を「歴史的民俗学」と呼んでいるだけに、資料の掘り方も半端無く、目次を眺めているだけでその壮大さにクラクラしてくる。そんな意識状態で読むのがいいのかも。師匠の柳田や研究仲間の折口と違って、文章が平易で読みやすく、すっとはいってきてありがたい。


9 『原発幻魔大戦』いましろたかし(エンターブレイン)
P90にインテリパンクが描かれている!という誤解で、いましろ先生と知己を得たという思い出も嬉しい! しかし秀逸なのはフィクション/ノンフィクションの垣根を超えたところで、きな臭いこの時代の空気をしっかり伝えられているという点だ。311後の生活者のリアルな生き様、同僚とは日常に戻ったフリをしながらもひとりになればウェブの陰謀論スレスレの情報に振り回されつつ治世への怒りをもたげながら、ただ今日も金曜官邸前か繁華街のデモを歩くしかない僕らを代弁するなんてコミックは他にない。日本列島で放射能と政府に恐れおののいたすべての人に読んで欲しい、危機感がほとばしる。




10 『災害と妖怪――柳田国男と歩く日本の天変地異』畑中章宏 (亜紀書房)
柳田國男没後50年に出たタイトルにフックがある良書。柳田國男の『遠野物語』『妖怪談義』『山の人生』などを基に、日本各地に残る妖怪の足跡を追いながら、ほそぼそと残る「災害伝承」の関係を明らかにしていく。専門書のような難解さがないので、「民俗学」への知覚の扉をひらかせてくれる入門書として最適。紹介されている文献も、柳田がまだ「非常民」の方に向いていた初期のものが多く、非常にそそられる。本書が災害時に自発的な助け合いの輪が広がることを論じたレベッカ・ソルニット『災害ユートピア』と同じ出版社というのもミソ。江戸の民衆は災害にカタルシスを感じ、それを再生の契機としての「世直し」観念と結びつけていた、という宮田登流の「災害ユートピア」をミックスすると、アナキズムの友愛的側面と破壊(と創造)的側面を感じとることができる。グレーバー以降、民俗学や人類学をアナキズムと重ねて読む癖がどうも抜けない。



ジェレミーのすべてvol.1

Jeremynosubete
ジェレミーのすべて vol. 1

Original 歌/Original 映像/Original 対談

☆昔の英語の歌
☆今年出来た日本語の歌、何曲か
☆ハーポ部長:映画と人生の対談(日本に興味を持ったきっかく初発表)
☆他


Hinichi:12月2日(日)
Jikan:昼の3時から
Okane:¥500
Basho:高円寺素人の乱12号店で

ジェレミーのすべては一期一会なので、できれば動画と録音をとって欲しくない。別に怒らないけど。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「ジェレミーのすべて」たのしみすぎる。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=rfAeDCTk9Ts[/youtube]

ジェレミー主催のイベントは「う」以来2年ぶりだね。
ジェレミーは馬橋映画祭のすっちーと主催とか、YouTubeの「友よ」動画がいちばん有名だけど、もっといろいろあるんですね、多才。

イベントじゃ、ハーポ部長監督、ジェレミー・ハーレイ主演の幻の名作『Japanese Mic Culture』が観ることが出来るかもしれない。ハーポさんが「今年のロングホットサマーを席巻したストリートマイクカルチャーについての30分程度の考察映像。今回の映画祭出品作の序章。映像人類学、文化研究の最前線がここにあります!(嘘) 」って以前書いていて、面白いと思います。完成品は観てないんだけど、アクタージェレミーの姿はひきこまれた!



海賊党研究会 第一回:海賊のジレンマ読書会

PirateT2
先日のドミューンに触発されて開催します。読書の秋!
6月に開催した「NO ACTA研究会:ネット動画を通して海賊党ムーブメントを知る!!!」に続き、「海賊党研究会」を始動します!

第1回目は『海賊のジレンマ』(マット・メイソン著)の読書会です。

PirateBook
本書は、海賊党はもちろん、ユース・カルチャーの新しい価値観と挑戦、DIYの智慧、自由な創造性に焦点をあてた、これからのカウンターカルチャー必読書。ソフトウェア、音楽、ゲーム、広告、ファッション、映画、デザイン……多くの産業に影響を与え、著作権侵害や、「違法行為のグレーゾーン」を拡張して進化し続ける海賊たちは、いかにして新しい資本主義をつくったのかが、豊富な事例とともに紹介されています。

ゲストに、翻訳メンバー玉川千恵子さん、装丁を担当されたintellipunkさんをお迎えし、本書を読み解くポイントや、掲載しきれなかったエピソードなどについてお聞きします。既存のメディア形式を操り、オープン&リミックスさせる海賊の戦略で、社会に変化をつくり出す! そんな情報共有と交流の場にしたいと思います。

「海賊のジレンマ」をあらかじめ読んで持参していただくのが理想ですが、当日は簡単なレジュメも用意するので、未読だけど興味はあるよ!という方もお気軽にご参加下さい。(文:ひげビジョン)


海賊党研究会 第一回:『海賊のジレンマ』読書会
日時:2012年10月21日(日)18:00~
場所:気流舎
会費:無料(ドリンクオーダー、投げ銭)

ゲスト:
玉川千絵子氏(5th element)
intellipunk氏(RLL

主催:海賊党研究会

★内容に関連する資料や本の紹介も歓迎です!

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=FbTQPAhI9zQ[/youtube]
↑このViceの海賊放送ドキュメンタリー番組の進行役が著者のマット・メイソンですよ~
エピソード満載の必読書!

参考リンク:
http://www.filmart.co.jp/cat138/311_3.php
http://thepiratesdilemma.com/
http://peer2peer.blog79.fc2.com/blog-entry-1055.html
http://archive.wiredvision.co.jp/blog/yomoyomo/200910/200910141420.html

PirateT1



10/20(土)六角橋商店街ドッキリやみ市場、一箱古本市に参加

六角橋商店街ドッキリやみ市場
日時:10月20日(土)一箱古本市 20時〜22時
場所:六角橋商店街ふれあい通り

白楽駅六角橋商店街の貸本・古本&タイ古式マッサージ屋「猫企画」さんに誘われて、六角橋商店街ドッキリやみ市場「一箱古本市」に参加します。RLLメンバーのレア古本の他に「着る思想」Tシャツ(本扱い)を放出予定。

RLLとも深い関係にある下北沢の対抗文化専門古書店「気流舎」も一箱古本市に参加します。意識の変容を促す本を中心にセレクト予定。

他の出店者に、野宿野郎、恋と童貞、ベンチウォーマーズ、ストリートワイズ、元黄金町試聴室永山店長、小暮秀夫(音楽ライター)、古本ツアーインジャパン、リケット玲(OKAN DO-ZINE)、たけうま書房など、個性的過ぎる37組が参加。そして猫企画前ではプリミ恥部の宇宙マッサージあり。これはそうとうなカオス企画!

「本を媒介とした楽しい交換/交歓ができればと思います。テキヤ力を出して頑張ります」とはハーポ部長の弁。

「ドッキリヤミ市場は、地域の活性化を目的に1998年にスタートした同商店街の代表行事。現在は、毎年4月、5月、6月、7月、9月、10月の第3土曜に開催。開催時間は20時~22時で、毎回2,000~3,000人を集客している。会場は、店舗の閉店後の仲見世通りの長さ約300メートルのストリート全体を広場として活用。路上ライブなどのパフォーマンスも行われる。」
(「神奈川みんなの経済新聞ネットワーク」10月16日(火)16時5分配信より)

「一箱古本市」だけでも充分に濃いのにライブ企画もすごい。フェスタデノーチェ(フラメンコ)、トライバルキューブ(ベリーダンス)、chan-mika(レゲエ)のほか、ダンスグループ、ミュージシャンあわせて10組が参加予定。

なんと、18時30分からは「ストリート結婚式」というのがあるらしい。新郎新婦がブラスバンドに導かれて、仲見世通りを歩くという。ふるまい酒もあるらしく、他人の幸せには便乗するに限る!

02taz02
「カオスは決して滅びてはいない。原始の未だ刻まれていない岩塊、唯一尊敬すべき怪物、緩慢でのびのびとしていて、(バビロン以前の影にも似た)あらゆる神話よりも紫外線を多く発しているこの最も初めで未分化の存在の一者性は、未だにアサッシン派の黒色三角長旗のような静穏をまき散らし、でたらめで、そして永久に酩酊しているのだ。」ハキム・ベイ「カオス」



NDS東京上映会!

NDSfiyer1

NDS東京上映会2012
このたび縁あってRLLが映画の上映会を開催します!
あんまり都内では観られないので、是非この機会にご鑑賞ください!!


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ドキュメンタリー・ドリームショー 山形in東京2012「《釜の住民票を返せ》&NDUと布川徹郎の熱い眼差し」公開記念!
NDS東京上映会2012
ドキュメンタリー・ドリームショー山形in東京2012にて、「NDUと布川徹郎の熱い眼差し」と題して、滅多に観られない布川徹郎とNDU(日本ドキュメンタリスト・ユニオン)の作品が連続上映、そして晩年の布川徹郎と共にドキュメンタリーを制作してきた、NDS(中崎町ドキュメンタリー・スペース)の金稔万《釜の住民票を返せ!2011》も上映される。これは快挙だ!!!
それならば一緒に東京公開記念で残りのNDSメンバー達のドキュメンタリーも観てしまえ! おまけに上京した金稔万に解説までさせてしまえ! ポレポレ東中野でNDU作品上映(21時から)の前の時間に、ふたつ駅隣の高円寺素人の乱12号店でNDU作品を上映(19時から)してしまえ! さあ今を映すNDSを観てから伝説のNDUを観よう!

【会場】素人の乱12号店
〒166-0002東京都杉並区高円寺北3-8-12フデノビル2F奥の部屋(北中通り沿い斉藤電気店向かい)
JR中央線高円寺駅下車徒歩7分 http://12gouten.shirouto.org
【代金】3本セット1000円/1本500円
【主催】RLL(www.rll.jp/info@rll.jp)
【協力】NDS、馬橋映画祭、高円寺活動寫眞研究會


9/14(FRI)19:30-19:50(ポレポレ東中野で、前の時間17:00-18:22《長居テント村に大輪の舞台が立った!》 その後21:30-22:40《ニッポン劇場 海を方法とした映像を!》をご鑑賞推奨)
佐藤零郎・中村葉子・布川徹郎《緊急報告釜暴動》
2008/カラー/DV/17m
撮影・編集・監督:佐藤零郎・中村葉子・布川徹郎
2008年6月の釜暴動の緊急報告映像をまとめた未公開ショートフィルムを独占公開。金稔万監督の解説もあります。


9/15(SAT)19:00-20:00 (その後ポレポレ東中野で、21:00- 《タックルセー 国体解体のためのプロローグ》+《倭奴(イエノム)へ 在韓被爆者 無告の二十六年》をご鑑賞推奨)
梶井洋志《遺言なき自死からのメッセージ》
2010/カラー/DV/50m
監督:梶井洋志
撮影:北里伊都子、原口宅史、佐藤零郎
録音:小川英子、高部なおこ
—編集過程より— 今から約8年前の冬のある朝、僕は父が長く仕事を休んでたことなどで口論になり、そのまま家を出た。その時はその口論が最後の会話になろうとは思いもよらなかった。それから間もなく父は自ら命を断った。自責の念、父への恨み、いつか自分も自ら命を絶ってしまうのではないかという恐怖…最後に残った何故? という思い。年間3万人以上の人が自殺する状況のなか、このほとんど絶望的な問いの、答えと呼びうるほんのひと欠片でもよいから掴みたいと思った。一人の女性の自死をその遺族を通して描こうと、僕はカメラを回し自分の思いを彼らに投影しようとする。しかし、自ら命を断ったひとへの思いの違いに加えて、その女性がどのような状況の中を生きてきたのかすら誰にも分からないのだということに気付かされる。掴もうとすればする程不確かになっていく、自殺の理由…自分の父に限ってはその全体像を把握していたような錯覚…振り返ると僕はほとんど父のことを思い出せない。そもそも彼はどんな声で喋り、どんな風に笑うのか。一人の人間が生きた軌跡をたどろうとする時、他者である僕のなんと無力なことだろう。そして僕は押し入れの中から父が撮った一つのビデオテープを見つけた。その中では20年前の僕が、カメラに向かって笑っている…(2010/3/14)


9/16(SUN)19:00-20:15 (その後ポレポレ東中野で、21:00- 《アジアはひとつ》をご鑑賞推奨)
張領太 《中村のイヤギ》 2009年度ヒロシマ平和映画祭招待作品
2008/カラー/DV/72m
製作総指揮:原一男
撮影協力:佐藤零郎、金稔万
撮影・編集・監督:張領太
そこは日本の朝鮮植民地支配下で空港の建設・拡張工事に従事した朝鮮人達の飯場跡を起源としていた。2005年末、地区の移転を知った〈同じ在日朝鮮人である〉私は、移転間際の中村で住民の思いをカメラでおさめていこうと試みた。本作は原一男監督が講師を務めた「ドキュメンタリーする快楽」(大阪朝日カルチャーセンター)の講座作品。中村が移転することを知った時、初めは住民の昔話・思い出話などを、後世に面白可笑しく残せれば良いなという位に考えていた。しかし途中で、中村の状況は、ただ「朝鮮部落」が無くなるというだけでなく、現在の在日朝鮮人が置かれている状況の縮図を表しているのではないかと思った。当然のことながら在日朝鮮人なるもの達も、同一の考え方や生きかたをしているはずも無く、一人一人が様々な思いや葛藤の鹿田で人生を生きている。私は、中村地区の移転という出来事を通して、在日朝鮮人「内部」の状況、そして日本社会との関係など、在日朝鮮人の現在を描きたいと思った。そこにおいては私自身も「3世」として映り込んでいると思う。撮影中も一人また一人と住民が亡くなっていった。急がなければ歴史が亡くなってしまう。そんな思いの中。突然目の前で唄われた歴史の詩を、私は聴き取ることが出来なかったのだ。「歴史と繋がれていない」そのことは、現在の在日朝鮮人が置かれている状況であると供に、実は日本人が置かれている状況でもあるのではないかと思います。
ただ今張領太監督は、ハナフィルム名義で健一自然農園を撮影した新作を2013年公開を目指して編集中です。



NDS(中崎町ドキュメンタリー・スペース)
映画監督 原一男による講座「ドキュメンタリーする快楽(大阪朝日カルチャーセンター)」(2006年春~2007春)の受講生らが、大阪市北区中崎町のビルの一室に集い、それぞれの作品の完成を目指して互いに批評・研鑽する場が生まれ、次第にNDSと呼ぶようになる。長居公園の強制執行や千里ニュータウン建替え問題にともなう強制執行といった、生存の場所を奪われる瞬間を記録し続け、また可視化されることのなかった人々の姿にカメラを回す。また現場でNDUの中心であった布川徹郎と出会いその薫陶を受ける。(NDUもまた、1970年代学生運動の現場から現れ、沖縄からアジアへと渡り流浪する人々など、生存の場を奪われようとする者、奪われた事実すらなかったことにしようとされる者たちの姿を撮り続けていた。)そこから生まれた作品は、張領太《中村のイヤギ》が 2009年広島映画祭、佐藤零郎《長居青春酔夢歌》が2009年山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門、金稔万《釜の住民票を返せ》が2011年山形国際ドキュメンタリー映画祭ニュードックスジャパン部門などで上映され好評を博す。中崎町のスペースを西成区釜ヶ崎に移し劇映画を企画している、現在では珍しい若手ドキュメンタリー制作集団。(zine『砂漠』vol.3にNDSメンバー達のロングインタビュー掲載予定。乞うご期待!)今回は他のNDS作品は、傑作なのですが残念ながら上映致しません。(佐藤零郎《長居青春酔夢歌》63m/中村葉子《空っ風~千里開発・RCの陰謀~》90m)ちなみに主催RLLは、布川徹郎と盟友であり幾つかの映画で制作も果たしている平岡正明から、晩年に教えを受けたというNDSと相似形の体験をしている。



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