RLL 2009′S BEST BOOKS

RLL 2009′S BEST BOOKS

1. 毛利嘉孝『ストリートの思想–転換期としての1990年代』NHKブックス
https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00911392009
RLLが載ったってだけで評価してしまうわけじゃない。これは画期的な本だ、僕らが大前提にしている「おもしろさ」「かっこよさ」「身体性」「文化/政治/思想」「路上」を、きちんと明文化したモノはたぶん初めてだ。普通のひとたちが、全く分からなかったことが書かれているぞ! でも僕らには、当たり前過ぎて新しいことが一つも書かれていなかった!! マスト!!!


2. 高祖岩三郎『新しいアナキズムの系譜学』河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309244693
高祖さんの前の2冊以上に理論の本。系譜学といいながら実はアナキスト地理学の本。そしてエートス(基本原理)が提示される倫理の本。エコロジーとドゥルーズ&ガタリとグリッサンとソローとルクリュを繋いだ、新しい時代の地球の生き方を提示した、世界を愛するための本。いい本です。



3. 廣瀬 純+コレクティボ・シトゥアシオネス『闘争のアサンブレア』月曜社
http://getsuyosha.jp/kikan/asambleas.html
『闘争の最小回路』で中南米を俯瞰したひろじゅんの最新翻訳は、通貨危機後のアルゼンチンに焦点を当てる。細かなディティールから浮かぶのは、コモン燃え盛った祭の体験。ピケテロス(幹線道路封鎖失業者運動)、アサンブレア(水平的・自律的集団性集団)、エスクラチェ(軍事独裁犯探し住民周知)など新しい言葉から浮かび上がるのは、質実の詰まった血の通った社会(日本の社会は真空のようだ)。



4. ヨアヒム・ケーラー 『ニーチェ伝–ツァラトゥストラの秘密』青土社
http://www.seidosha.co.jp/index.php?%A5%CB%A1%BC%A5%C1%A5%A7%C5%C1
従来のニーチェは大衆と決別して超然としているイメージだったはず。ニーチェの妹が隠して今まで明かされていなかった、ここで書かれた真のニーチェ像は、ネタ感のある衝撃的サイゾー暴露系?! RLLは、この本に触発されてニーチェTシャツをリリースする!


5. ミッドナイト・ノーツ・コレクティブとその友人たち『金融恐慌からコモンズへ–資本主義の現在的批判のために』以文社
http://www.ibunsha.co.jp/
http://www.midnightnotes.org/
マイケル・ムーアの新作映画『キャピタリズム』と合わせたようなタイムリーなリリース。とっくに資本主義終わってるってことをアメリカの左翼がアジってて熱いぜ。チアパスやアテネやアルゼンチンとNYや日本を共振させよう! ハーヴェイ、ジョック・ヤングと続くナイスな木下ちがやのガチ仕事。装丁もgood!


6. 佐藤嘉幸『新自由主義と権力 フーコーから現在性の哲学へ』人文書院
http://www.jimbunshoin.co.jp/mybooks/ISBN978-4-409-04099-7.htm
佐藤嘉幸氏の新作は前作の延長にバトラーを据えた流石の理解。∞を久々何年ぶりかに哲学読書へと触発させたのだった。ラカン=アルチュセール=フーコー=D&Gと切り結び、自己を反ネオリベとして再主体化させる戦略。さてこの本を内面化しようじゃないか。現代思想から反撃の導火線を読み込め。


7. 行友太郎・東琢磨『フードジョッキー その理論と実践』ひろしま女性学研究所
http://www.enjoy.ne.jp/~kazokusha/
http://www.mosakusha.com/newitems/cat578/post-31.html
RLLにとっての東さんは、シャリバリ行友氏とこの本を出した東琢磨さん。これは、ブルーハーブやURやジャン・ジュネやベンヤミンやシュミットや「仁義なき戦い」や松本哉が語られる料理本。「明かしえぬ共同体」煮込み、マメに敵対性をあらわにしていく鍋・サラダ・揚げ物一式、歓待の思想アンチ・セレブ・フルコース…やばい面白いLIFE(生活/人生)の哲学が食い物の中に煮込まれて、これは滋養になるな。



8. 今福龍太編『アルフレッド・アルテアーガ+高良勉詩選』サウダージ・ブックス
http://sea.ap.teacup.com/saudadebooks/177.html
今年は葉山のサウダージ・ブックスに行って、その価値観に影響を受けた。本と山と海に囲まれた空間は濃密で、流れる蜜色の時間を濃縮してオンデマンド印刷でペーパーバックにしたら、こんな本になったんだろう。装丁は気流図案室。RLLはサウダージ・ブックスとコラボレーション予定です。


9. フランソワ・ドス 『ドゥルーズとガタリ 交差的評伝 』河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309244884
重くて高くてまだ買ってませんが、思想哲学各方面の兄貴達から大絶賛されてるんで間違いなくトップ10リストアップ。早く読みたいな〜もうどこかの図書館には入ってるのかな?


10. 菊地成孔・大谷能生『アフロ・ディズニー エイゼンシュテインから「オタク=黒人」まで』文藝春秋
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163716305
RLLもこんな似非人文学をやってみたかったんだ、と思い出させてくれた怪作。ソカール事件とは、クラシック音楽家がブルースミュージシャンに音ズレてると指摘する様なモノ。こんな見立てがポンポン飛び出す、視覚/聴覚を縦軸、大人の文化/子供の全能感を横軸に話題をズラしてゆく快放談。続編も楽しみ。




そのほかの09本

・石田昌隆『オルタナティヴ・ミュージック』ミュージックマガジン
http://musicmagazine.jp/published/mmex-200907am.html

・ミック・ファレン『アナキストに煙草を』メディア総合研究所
http://www.mediasoken-publish.net/blog/2009/10/post_80.html#more

・ボリス・ヴィアン『ボリス・ヴィアンのジャズ入門』シンコーミュージック
http://www.honeyee.com/news/book/2010/001919/
http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=0633628

・フィリップ・ボッジオ『ボリス・ヴィアン伝』国書刊行会
http://book.asahi.com/review/TKY200912010174.html

・フィル・ハーディ、デイヴ・ラング編『ロック・エンサイクロペディア 1950s-1970s』みすず書房
http://www.msz.co.jp/book/detail/07344.html

・S.クレイグ ワトキンス『ヒップホップはアメリカを変えたか?–もうひとつのカルチュラル・スタディーズ』フィルムアート社
http://www.filmart.co.jp/new/post_126.php
http://notpillar.com/?pid=17497900

・ECD『ホームシック 生活(2〜3人分)』フィルムアート社
http://www.filmart.co.jp/cat138/_23.php

・フィリップ・ロベール『エクスペリメンタル・ミュージック–実験音楽ディスクガイド』NTT出版
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002009
http://d.hatena.ne.jp/post-it/20091022

・廣瀬純『シネキャピタル』洛北出版
http://www.rakuhoku-pub.jp/book/27101.html

・山森亮『ベーシック・インカム入門』光文社新書
http://book.asahi.com/review/TKY200904280132.html
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2009/04/20090405ddm015070025000c.html

・清水直子・園良太編著『フリーター労組の生存ハンドブック』大月書店
http://d.hatena.ne.jp/spiders_nest/20090704/1246648216
http://www.otsukishoten.co.jp/cgi-bin/otsukishotenhon/siteup.cgi?&category=1&page=0&view=&detail=on&no=464

・ジョヴァンニ・アリギ『長い20世紀–資本、権力、そして現代の系譜』作品社
http://www.kobe-u.ac.jp/info/book/0901_01.htm
http://www.tssplaza.co.jp/sakuhinsha/book/shakai/tanpin/22179.htm

・スーザン・ソンタグ『同じ時のなかで』NTT出版
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100001997

・ベルナール・スティグレール『技術と時間〈1〉エピメテウスの過失』法政大学出版局
http://www.nulptyx.com/pub_tt1.html

・クリスティアン・マラッツィ『現代経済の大転換—-コミュニケーションが仕事になるとき』青土社
http://www.seidosha.co.jp/index.php?%B8%BD%C2%E5%B7%D0%BA%D1%A4%CE%C2%E7%C5%BE%B4%B9

・ロベルト・エスポジト『近代政治の脱構築—-共同体・免疫・生政治』講談社選書メチエ
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2584514

・市田良彦+ポール・ギルロイ+本橋哲也『黒い大西洋と知識人の現在』松籟社
http://shoraisha.com/modules/tinyd2/index.php?id=39

・ピエール・ブルデュー『パスカル的省察』藤原書店
http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1088

・酒井健『バタイユ』青土社
http://www.seidosha.co.jp/index.php?%A5%D0%A5%BF%A5%A4%A5%E6

・本山美彦+萱野稔人『金融危機の資本論』青土社
http://www.seidosha.co.jp/index.php?%B6%E2%CD%BB%B4%ED%B5%A1%A4%CE%BB%F1%CB%DC%CF%C0

・山口昌男『学問の春 〈知と遊び〉の10講義』』平凡社新書
http://heibonshatoday.blogspot.com/2009/08/10.html

・今福龍太『身体としての書物』東京外国語大学出版会
http://www.tufs.ac.jp/blog/tufspub/dialy/

・今福龍太+サウダージ・ブックス『ブラジルから遠く離れて 1935-2000 クロード・レヴィ=ストロースのかたわらで』サウダージ・ブックス
http://sea.ap.teacup.com/saudadebooks/180.html

・草森紳一『「穴」を探る 』河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309019130

・市田良彦責任編集『別冊情況 68年のスピノザ アントニオ・ネグリ『野生のアノマリー』の世界』
http://www.mosakusha.com/newitems/2009/07/20097.html




intellipunk 2009年10冊

1. デヴィット・グレーバー『資本主義後の世界のために 新しいアナーキズムの視座』以文社(2009)
http://www.mosakusha.com/newitems/cat582/post-611.html
こりゃものすごく簡単な本。すぐさまアナキズムをインストールできるぜ


2. ジョン・ホロウェイ『権力を取らずに世界を変える』同時代社(2009)
http://uonome.jp/article/yomono/546
ホロウェイさんの優しさが伝わる。「かくめい」は「革命」とはちがうのだ

3. 和田伸一郎『民衆にとって政治とは何か』人文書院(2009)
http://www.jimbunshoin.co.jp/mybooks/ISBN978-4-409-04097-3.htm
松本哉をランシエールで解説。ニヒらずに街路に出よう

4. VOL collective編『VOL lexicon 資本主義とは別の世界を構想し、無数の行動と思考をつくりだすために VOL collectiveによるキーワード集』以文社(2009)
http://irregularrhythmasylum.blogspot.com/2009/07/vol-lexicon.html
思想と政治と路上の真ん中狙い。ZiNEと辞書と武器庫の真ん中狙い。

5. 杉浦勉『霊と女たち』inscript(2009)
http://inscriptinfo.blogspot.com/2009/07/blog-post_13.html
急逝した杉浦氏の遺作。繊細な論考

6. 今福龍太+サウダージ・ブックス『ブラジルから遠く離れて1935-2000 クロード・レヴィ=ストロースのかたわらで』港の人(2009)
http://sea.ap.teacup.com/saudadebooks/180.html
フェティッシュ(レヴィ=ストロースふぇち、出版ふぇち、造本ふぇち)なとっても美しい本。

7. フランコ・ベラルディ(ビフォ)『プレカリアートの詩 記号資本主義の精神病理学』河出書房新社(2009)
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309245010
今の記号資本主義、認知資本主義を知るうえで、最適の本。ということは今の時代の最上の本。RLLの想起する「シャブリベ」に近似したネオリベラリズムと精神病理の共謀が語られる。

8. 小沢健二『企業的な社会、セラピー的な社会』(2009)
http://itanjinkaneyasu.blogspot.com/2009/09/blog-post_4888.html
http://tu-ta.at.webry.info/200705/article_12.html
フェアトレードでネパール印刷された元王子様のグローバル時代の寓話、レア


9. 粉川哲夫『これが「自由ラジオ」だ』晶文社(1983)
http://cinema.translocal.jp/books/
コジマラジオの毛原さん経由でFMRLが粉川さんから譲り受けた品。素晴らしい

10. アリシア・ベイ=ローレル『地球の上に生きる』草思社(1972)
http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_0012.html
http://ysfc.weblogs.jp/chronofile/2005/11/post_7cda.html
オメガ・スイーツで購入したヒッピーの時代のDIYの名著





∞+∞=∞ 2009年本

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  • By intellipunk / Jan 02, 2010 4:17 pm

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